ウェブ広告の種類
ウェブ広告は、ウェブ媒体で出稿される広告の総称です。
一口にウェブ広告と言ってもその種類はさまざまで、予算や特徴を踏まえて最適なものを選ぶ必要があります。
本記事ではまず、代表的なウェブ広告である10種類を解説します。概要や目的・費用相場などをまとめていますので、自社で取り入れるウェブ広告の種類を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
検索連動型広告
検索連動型広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに基づき、検索結果画面やディスプレイ広告ネットワークへ表示される広告手法表示される広告手法です。特定のキーワードに対して興味のある顕在層を呼び込むことを目的としています。
メリットは、低予算で始めやすいことや、顕在層へのアプローチに強みがあるぶん成果が早く出やすいことです。一方で、認知拡大には不向きである、十分な効果を得るには手間をかけて広告運用しなければならない、という側面もあります。
検索連動型広告とリスティング広告は同じ
リスティング広告というと、検索キーワードに応じてテキストで表示される広告を想起する方も多いかと思われますが、実際は、画像や動画を用いたディスプレイ広告もリスティング広告に含まれます。
また、検索連動型広告も、リスティング広告の一つです。ディスプレイ広告とは異なる手法ではあるものの、両者の仕組みやメリットには共通点も多いからです。リスティング広告について詳しく知りたい方は、「リスティング広告とは|費用や仕組みを徹底解説【初心者向け】」をご覧ください。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、ウェブサイトやアプリの広告枠に表示される広告です。画像や動画とテキストを組み合わせたバナーが多く、「バナー広告」とも呼ばれます。潜在層に対し、指定のページに遷移してもらうことが主な目的です。
費用相場は、クリック課金では1クリック当たり20~500円程度で、インプレッション課金では1000回表示で100〜500円程度です。
メリットは、表現の幅が広く、潜在層に対しビジュアル的な訴求をしやすいことです。反対に、デメリットとしてニーズがない人にも広告表示がされやすく、コンバージョン率が低い点が挙げられます。
アドネットワーク広告
アドネットワークは、複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークを通じて、複数のウェブサイトにまとめて広告を配信するものです。1つのプラットフォームから、ブログやSNSなどに掲載する広告配信を一括管理できるもので、広告管理の手間削減が目的になります。
費用相場は、クリック課金で1クリック当たり10円~数100円、インプレッション課金で1000表示当たり10円程度です。
メリットは、広告配信を一括管理することで、手間を削減できる上に課金形態や成果指標を統合管理しやすくなることです。デメリットは掲載先を選べないことで、掲載先に問題がある場合には広告主のイメージダウンにつながる可能性があることが挙げられます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、一度自社サイトに訪れたユーザーに対して、サイトから離脱した後も追跡することで広告を配信するものです。Google広告では、「リマーケティング」と呼んでいます。
費用相場は、クリック課金であれば数10〜100円、インプレッション課金なら1000回表示当たり数10〜100円程度です。
メリットは、すでに自社を知っているユーザーの接触機会を増やすため、成約率や費用対効果を高めやすいことです。特に、高額商品など検討期間が長期化しがちな商品であれば、商品の想起が重要なので、一層リターゲティング広告が効果を発揮します。
一方で、潜在層へのアピールが難しく、関心が薄いユーザーにしつこく広告を行うと、かえってマイナスイメージを与えてしまいます。
純広告
純広告は、広告主が特定のメディアの広告枠を買い取って広告を掲載することです。「予約型広告」や、「買い切り型広告」と呼ぶこともあります。
掲載期間・場所があらかじめ決まっていることが特徴で、認知やブランディングのために使われることが多いです。
費用相場は、期間保証であれば50〜150万円で、インプレッション保証型課金であれば15〜100万円程度です。
一度掲載期間・場所を決めて掲載すれば、運用の手間がかからないのがメリットです。しかし、効果がなくとも費用が発生することや、細かなターゲット設定が困難であることが、デメリットとして挙げられます。
SNS広告
SNS広告は、ユーザーが普段利用している「Facebook」や「Instagram」などのSNSプラットフォームに配信する広告です。
SNSのユーザー情報を基にした精度の高いターゲティングができるだけでなく、閲覧したユーザーの「いいね」や「リポスト」など、拡散力も高いのがメリットです。
一方、SNSを利用しない層がターゲットの場合は思うような訴求ができなかったり、他の投稿や広告に埋もれてしまうこともあります。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、ウェブサイトの広告主に広告配信を依頼し、配信時に設定したコンバージョンを達成した場合に費用を支払うものです。リンク経由の商品購入や会員登録を目的としています。
費用相場は、初期費用と月額が〜5万円程度です。加えて、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)への掲載費用や成約した広告配信者への謝礼も必要です。
アフィリエイトサービスプロバイダーとは、広告主とアフィリエイターを仲介し、アフィリエイト広告を提供する事業者のことを言います。
メリットは、アフィリエイターがブログやSNSなどの広告配信を行うので、コンテンツ作成の手間を削減できることです。ただ、アフィリエイトの出稿にはASP(広告主と広告配信者(アフィリエイター)の仲介者)が必要で、その料金がかかります。
なお、2023年10月より、実際は広告であるにもかかわらず広告のように見せない「ステルスマーケティング」が景品表示法違反になりました。ステルスマーケティングが疑われないように「タイアップ」と明示するなど、広告の記載方法には十分注意が必要です。
記事広告
記事広告は、第三者の目線から、商品やサービスの魅力をまとめた記事をウェブメディアに掲載する手法です。サービスへの興味・関心を訴求することが目的で、タイアップ記事やPR記事とも呼ばれます。
費用相場は、4週間の掲載で100〜200万円程度と言われています。
メリットは、読み物としても魅力的な記事を作成すれば、広告らしさを見せずに自然な形で消費者に訴求できることです。また、有力な掲載メディアに掲載されれば、掲載メディアの力で流入を期待できます。
反対に、掲載メディアからのチェックなども必要になるので、掲載までに時間がかかるためタイムリーな話題には向いていません。
動画広告
動画広告は、動画を活用した広告です。認知拡大からブランディング、販売促進まで幅広い用途で使うことができます。
費用相場は、1再生当たり5〜10円程度、1クリック当たり50〜100円程度です。
メリットは、視覚や聴覚を刺激して、短時間に多くの情報を伝えられることです。ただ、制作に費用や手間がかかることは、デメリットとして挙げられます。
メール広告
メール広告は、電子メールで広告を配信するものです。テキスト形式とHTML形式の2種類があります。すでに商品を認知している見込み客に対し、教育やクロージングを行って商品購入につなげることが目的です。
費用相場は、配信課金で「配信数 × 10〜20円程度」、クリック課金で「300〜800円/クリック」です。
メリットは、見込み客に直接長文を送って詳しく説明をしやすいことや、メールが削除されない限りユーザーが広告を読み直してくれる可能性がある点です。
しかし、メールで広告を送付するため、迷惑メールフォルダに入れられる、あるいはメールが開封されずに読まれなかった場合、そもそも見てもらえないことがあります。
ウェブ広告、どれを選べばよい?
ウェブ広告には、さまざまな種類があると解説しました。しかし次は、「種類が多すぎて、結局どれを選べばよいかわからない」という悩みが浮上します。
どのウェブ広告を出稿するか考える際、業界や商材、競合、予算感などのファクターも考慮する必要がありますが、本章ではそれ以外の選び方のポイントを2つ解説します。
広告出稿の目的から決める
広告出稿の目的は、認知度向上や商品購入、さらには会員登録などさまざまです。広告の種類や媒体によって、どの目的を達成するために向いているか異なるため、広告出稿の目的に応じて使い分けましょう。
例えば認知拡大が目的なのであれば、ユーザーの目に自然と入ってくる記事広告や純広告などがおすすめです。直接的に商品購入へとつなげたい場合は、メール広告やアフィリエイト広告など、狙っているユーザーにピンポイントでアプローチできるものがよいでしょう。
使い分けとしては、いち早く成果をあげたい場合は、ニーズが顕在化した層に届く広告がベターです。将来的に事業やプロジェクトを拡大するために認知拡大を主眼に置く場合は、潜在的な層に届く広告をおすすめします。
ターゲット層の特性から決める
ターゲット層の特性も、どのウェブ広告を活用するか決めるときには注目したいポイントです。
例えば、ガイアックスの調査でも裏付けられているとおり、FacebookとInstagramを比較すると、Facebookの方が利用者の年齢層が高い傾向があります。また、Instagramは女性の利用者が多いことも特徴です。例えば若い女性向けに特化した化粧品であれば、FacebookよりInstagramに注力すべきと判断できます。
また、総務省の情報通信白書によると、70代以降になるとインターネットの利用率が顕著に低下します(2022年データで、60-69歳:86.8%→70-79歳:65.5%)。高齢者向けに特化した商品であれば、そもそもウェブ広告を採用しないことも有効です。