GoogleのAI Overview(旧SGE)とは?Googleによる新しい検索要約機能を解説
「AI Overview」とは、Googleの検索結果画面の最上部に表示される「AIが自動生成した回答」のことです。以下のように「AIによる概要」という文言と一緒に表示されます。従来のSERPsで表示される上位10記事よりも、さらに上部に掲載される点が特徴です。
従来は「SGE(Search Generative Experience)」として試験提供されており、その正式展開版が「AI Overview」です。AI Overviewの登場によって、ユーザーは複数の上位表示記事をクリックしなくても、大まかな情報をリサーチできるようになりました。
AI Overviewの仕組み
AI Overviewによる回答は、以下の仕組みで生成されます。
Googleの大規模言語モデル(LLM)がWeb上の情報を読み取る
↓
ユーザーの検索意図に最もマッチするであろう回答を生成する
AI Overviewがメインで参照した情報は、以下のように概要の右側に表示されます。
検索キーワードを深くリサーチしたいユーザーは、上記の参照サイトを中心に改めて記事を訪問することになります。また、参照サイトを訪問すると、AI Overviewで取り上げた部分は違う文字色で表示されることが一般的です。
このように、AI Overviewから参照サイトとして取り上げられれば、ユーザーがクリックしてくれる可能性は高まります。しかし、確実に「◯◯を行えばAI Overviewに参照される」という条件は明示されていません。
ただし現状では、以下のような施策を実行すると、AIが信頼性や権威性を評価し、ピックアップされやすくなると考えられます。
ユーザーが求める回答を簡潔かつ明確に記載する
構造化データを最適化する
E-E-A-Tを高める
詳細は「AI Overview時代に実践すべき対策 」の章をご覧ください。
日本におけるAI Overviewの展開状況
AI Overviewは2024年5月にアメリカで公開後、日本でも「2024年8月から」導入されています。アメリカの導入後に行われた調査では、AI Overviewの活用ユーザーは増加傾向にあると判明しています。とくに18~24歳の若年層については、AIによる概要を活用することでエンゲージメントがさらに高まることがわかりました。
現在はアメリカや日本、イギリス、インド、インドネシア、メキシコ、ブラジルをはじめとして、各国言語への対応を進めています。
AI Overviewの主な対応クエリ・ジャンル
AI Overviewは、主に以下のような検索クエリで表示される傾向にあります。
「とは」「なぜ」などのように言葉の定義や情報を知りたい
「〜〜 やり方」のように方法(how to)を知りたい
商品やサービスを購入したい
複数の商品やサービスを比較したい
おすすめを知りたい
従来までは、単純な知識や言葉の意味を知るクエリでの表示がメインでした。しかし、現在では「ユーザーの要望を踏まえたおすすめのレストラン紹介」「ユーザーの感情にマッチする音楽の提案」など、ある程度複雑なクエリに対応できるよう進化しています。
また、対応ジャンルとしては、主に以下が挙げられます。
ショッピング/旅行/健康/学習/金融・法律/IT系/エンターテインメント/飲食
など
上記のクエリと照らし合わせると、「おすすめの観光地を知りたい(旅行)」「楽しい気分になれる曲を知りたい(エンターテインメント)」「自社の課題を解決できるSaaS製品が知りたい(IT系)」というイメージで、クエリの種類と対応ジャンルが密接に結びついていることが読み取れます。
AI Overviewがもたらす3つの変化
AI Overviewの登場によって、主に以下3つの変化が発生すると考えられます。
「ゼロクリック検索」の増加
CTR(クリック率)の低下
より深掘りした検索クエリの増加
「ゼロクリック検索」の増加
AI Overviewの登場により、ユーザーにとって「AI回答=情報検索の入り口」になりつつあります。この入り口である「AIによる概要」をチェックすれば、ある程度必要な情報を取得できるようになりました。
そのため今後は、(詳細を知りたいユーザーを除き)上位表示記事をクリックせず、検索画面から離脱するユーザーが増えると予測できます。この「上位表示記事をクリックせずユーザーがリサーチを終える現象」がゼロクリック検索です。
例えば、以下のようにシンプルな情報であれば、AI Overviewで十分な回答を得られるため、ゼロクリック検索で終わりやすいかもしれません。
言葉の意味を知りたい
明日の天気を知りたい
目的地までの時間を知りたい
歴史上の人物の名前を知りたい
スマホの新機種の名前を調べたい
CTR(クリック率)の低下
従来まで、検索画面の1位に表示されれば、ユーザーからの信頼性を獲得しサイトへの流入が期待できました。しかしゼロクリック検索が増加すれば、検索1位を含めた上位表示記事でも、大幅なクリック率の低下を招くかもしれません。
実際に、世界最大級のSEO分析ツールを提供する「Ahrefs 」が調査したところ、検索1位サイトのクリック数は「34.5%」低下する可能性があると判明しました。クリック率が低下し自社サイトが閲覧されなくなれば、目標とするコンバージョンも達成しにくくなります。
もちろん、流入が0になるわけではないため「今後はSEO対策が無意味になる」というわけではありません。とはいえ、AI Overviewで大まかな情報を知って満足するユーザーが増えるため、大なり小なり自社サイトへの影響はあると考えられます。
より深掘りした検索クエリの増加
従来のAI Overviewでは「単語の意味」「おすすめ商品」など、シンプルな回答の表示が一般的でした。しかし技術の進歩によって、以下のようにやや複雑なクエリにも対応できるようになっています。
憂鬱な気分を晴らす方法を知りたい
高校3年生から大学受験に向けた成績を伸ばすにはどうしたらよい?
◯駅周辺で割引クーポンが使える居酒屋を探したい
千葉県内で雨の日に子どもを連れて行ける施設を知りたい
このように、AI Overviewが対応できるクエリの幅は広がっています。ユーザーがこの変化に慣れていけば、今後はさらに深掘りしたキーワードでの詳細な検索行動が増加するかもしれません。
SEOへの影響は?AI Overviewで順位や流入がどう変わるか?
このようにAI Overviewによって、ゼロクリック検索の増加を中心に、多くの企業に影響が出ると予測できます。とくに以下のようなコンテンツを掲載するメディアでは、AI Overviewが即座に回答できるため、さらなるクリック率の低下が起こるかもしれません。
Q&Aを掲載したサイト
how to系をまとめたメディア
おすすめ・比較系メディア
ライフスタイルなどに関するノウハウをまとめたサイト
ニュースサイト
クリック率が低下すれば、少なからずサイト評価にも影響を与えるため、もしかすると検索順位の低下を引き起こすかもしれません。
「AI Overviewに取り上げられる」というチャンスを作れる
とはいえ、悲観しすぎる必要はありません。確かにクリック率は低下するかもしれません。しかし「AI Overviewの回答に取り上げてもらう」というチャンスが増えていることも事実です。
もしAI Overviewが自社コンテンツを参照した場合、概要の横に表示される可能性があります。参照として取り上げられるサイトは、AIが「信頼できる記事である」と判断したコンテンツであると考えられます。そのため、ユーザーからも「AI Overviewで取り上げているなら信頼できる」と判断され、クリックされる可能性が高くなります。
クリック率が高くなり信頼性が増えれば、別のクエリでもAIに取り上げられるチャンスが増え、結果的にサイト流入やコンバージョンが増えるかもしれません。
このようにAI Overviewの利用率が高まっているからこそ、適切な対策を実行しAIの回答として取り上げられれば、より高い成果を残せることが期待できます。
具体的に「AIに好まれるページを作って取り上げられやすくするため」の対策は、次の章で解説します。
AI Overview時代に実践すべき対策
AI Overviewに取り上げられやすいコンテンツを作るには、以下のような対策の実行が大切です。
ユーザーが求める回答を簡潔かつ明確に記載する
構造化データを最適化する
E-E-A-Tを高める
ユーザーが求める回答を簡潔かつ明確に記載する
AI Overviewに取り上げてもらうには、コンテンツ内に「◯◯への回答は〜〜です」というように、ユーザーが求める情報を一目でわかるよう記載することが大切です。
具体的には、以下のようなポイントを意識してください。
見出しに「〜〜とは?」などを入れてユーザーの検索ワードに対応する
「よくある質問」などの見出しを入れて一問一答形式で回答する
記事の冒頭に「◯◯とは〜〜のことです」という形で結論を示す
重要なポイントを箇条書きで整理する
難解な言葉を使わず誰もが理解できる文章で書く
図解や表を活用して要点を整理する
簡潔かつ明確に回答を記載することで、AIが「このコンテンツにはユーザーの求める回答がある」と判断しやすくなり、AI Overviewで表示される可能性も高まります。
構造化データを最適化する
「構造化データ」とは、サイトやコンテンツ内の情報をAIに共有し、正しく読み取ってもらうために整理したデータのことです。HTMLコードを記述することで、「◯◯に〜〜の情報をまとめている」という旨をAIへ共有できます。
具体的な構造化データの例は、以下の通りです。
FAQスキーマ:「よくある質問」などのコンテンツを構造化する
HowToスキーマ:「手順」「ステップ」など順序があるコンテンツを構造化する
Productスキーマ:商品情報(名称や価格、在庫状況、画像など)を構造化する
AIがコンテンツ内の情報を読み取れれば、AI Overviewの回答で参照される可能性が高まります。
構造化データのコードを記述する際は、「schema.org 」をご活用ください。schema.orgとは、Google・Yahoo!・Bingの3社が運営するサイトです。3社に対応した構造化データの仕様をまとめているため、schema.orgを参照すれば主要な検索エンジンは十分対策できます。schema.orgの詳しい使い方は、Google公式サイト「Google 検索における構造化データのマークアップの概要 」を参照してください。
なお、適切な構造化データを記述すれば、「リッチスニペット(検索結果のタイトル直下に住所やサムネ情報などが追加で記載される)」が表示されやすくなり、サイト自体のクリック率が改善されるかもしれません。
E-E-A-Tを高める
AIは「正確な情報をまとめているか?」「信頼できる人物が執筆しているか?」というイメージで、信頼性や権威性などを踏まえて参照コンテンツを決定するといわれています。そのため「E-E-A-T 」を意識することも重要です。
具体的には、以下のようなポイントを押さえてください。
専門家に監修してもらい著者情報に経歴を載せる
自社の独自実験・調査を実施して結果を記載する
自社ならではのオリジナルな知見をもとにコンテンツを制作する
特定の領域で実績を持つ専門家にインタビューを行いコンテンツとして掲載する
公的機関や大手シンクタンクの調査結果など信頼性が高い情報を引用する
引用した情報のサイト名やページ数などを詳細に記載する
記事内のデータを定期的に最新版へ更新する
実際の写真を使って手順を説明する
自社で過去に上記のようなSEO対策を実行している企業であれば、AI Overviewへ引用されやすくするために引き続き活用できます。
上記のように、自社コンテンツがAIに読み取られるよう最適化することを「GEO(Generative Engine Optimization)」と呼びます。GEOについては「生成エンジン最適化(GEO)とは?SEO・AIOとの違いから実践方法まで完全解説 」で詳しく解説しているため、AI Overviewで表示されるための対策を強化したい企業は、ぜひご覧ください。
今後は「SEO×AI Overviews」といった複合戦略が重要
このように、AI Overviews対策では「簡潔に結論を示す」「信頼性や権威性を示す」というように、従来のSEO対策と重複する部分が多々あります。そのため、AI OverviewsとSEOを切り分けるのではなく、両者の対策を並行しながら強化することが大切です。
両者を強化することで、「オーガニック検索で上位表示される→コンテンツが評価される→結果的にAI Overviewsで取り上げられやすくなる」というイメージで、相互によい影響を与えることが期待できます。
また、SEO対策を含めた「コンテンツマーケティング」を実行することも大切です。コンテンツマーケティングでは、メディアや動画、SNS、メルマガなどの手段を活用し有益情報を発信することで、長期的にユーザーからの信頼を獲得します。SEOに関わらず幅広い手段でユーザーからの信頼性を獲得できれば、トータルで自社への信用が高まり、AI Overviews対策としても大きな効果を出すことが期待できます。
実データをもとに解説!AI Overview対策における成功パターン
AI Overview対策の成功パターンとして、「構造化データによってAI回答に引用されやすくする」が挙げられます。
SEO分析のプラットフォームを提供している「BrightEdge 」によると、AI Overviewには以下の傾向があると判明しました。
引用コンテンツの82.5%は「ホームページから2クリック以上離れた中〜下層ページ」にリンクされている
引用コンテンツの0.5%が「ホームページ」にリンクされている
引用コンテンツの86%はひとつのキーワードのみに表示されている
とくに、ひとつ目については「AI Overview時代においては中〜下層も含めた全ページが重要になっている」ということを示しています。従来まで中〜下層ページは、ユーザーとの接触機会が少ないと考えられてきました。しかし、AI Overviewの登場によって「検索結果に引用される→ユーザーと最初に接触する」という重要ページとなる可能性があります。
この状況に対応しAI Overviewで引用されるには、構造化データによってコンテンツ情報を記述し「中〜下層ページまでAIが読み取れるよう工夫すること」が大切です。他にも「コンテンツをインデックスに登録する」「常に最新情報へ更新する」が重要であると示唆しています。
参照:Search Engine Land