ChatGPT Instant Checkoutとは?具体的な仕組みを解説
「Instant Checkout」とは、ChatGPT内のみで検索から商品購入までを完結できる仕組みを指し、本記事ではこの仕組みを便宜上「Instant Checkout」と表記します。
具体的なイメージは、以下の通りです。
Step1.「〜〜へのプレゼントにおすすめの◯◯を知りたい」などでChatGPTに質問する
Step2.ChatGPTがWeb全体からユーザーにマッチしそうな商品・サービスを提示する
Step3.購入ボタンを押す
Step4.注文・配送・支払いの詳細を確認する

ユーザーはChatGPTから各ECサイトへ遷移せずとも、手軽に商品・サービスを購入可能です。
商品・サービスは、ユーザーの検索条件や在庫、価格、品質、知名度、信頼性などをもとにピックアップします。既存の検索結果と異なり、現時点では、広告枠のような明確なスポンサー表示は確認されていないため、ユーザーのニーズに沿った商品が提示されやすいと考えられます。
ChatGPTに登録していれば、登録済みのクレジットカード情報はもちろん、別のカードを追加したり他の簡易決済手段を使ったりできます。
2025年12月時点における利用条件
2025年12月時点、Instant Checkoutは日本では提供されていません。以下の両方に該当するユーザーが利用可能です。
米国在住
ChatGPTのFree・Plus・Proいずれかのユーザー
現在は単品購入のみに対応していますが、今後は複数商品のまとめ買いに対応予定です。
また、Instant Checkoutで自社商品をピックアップしてもらうには、Stripe(※1)を中心にOpenAIと連携して進められている「Agentic Commerce Protocol(ACP)」に対応した連携(実装)が必要です。現在の取り扱い商品は「Etsy(※2)のみ」ですが、今後はShopifyなどへの対応も検討しています。
(※1)インターネット上で使える幅広い決済手段と連携しているプラットフォームのこと
(※2)米国発のECプラットフォームのこと
従来のECサイトや検索経由での購入と比較して変わるポイント
従来のECサイトや検索経由での購入と比較すると、主に以下のポイントが変わります。
検索から購入までChatGPT内で完結するためユーザー体験が向上する
商品の購入ハードルは下がる

従来のようにECサイトや検索経由で購入する場合、「マッチする検索結果を探す→Webサイトを訪問する→商品を比較する→カートに入れる」という流れを踏む必要があるため、ユーザーにとって手間でした。Instant Checkoutなら「ChatGPTが商品をピックアップする→チャット内で購入する」という流れで使えるため、ユーザーの負担が減少し結果的に顧客体験の向上を実現できます。また、ピックアップする商品にスポンサー枠はないため、ユーザーのニーズに最もマッチする商品を推薦してもらえるかもしれません。最適な使い心地の商品を購入できれば、ユーザーの満足度はさらに向上します。
また、Instant Checkoutでの支払いは、ChatGPTに登録済みの情報を利用可能です。改めて支払い先口座を登録する必要はありません。
このように、ユーザー自身で情報を比較したり支払い先を入力したりする手間がないため、商品の購入ハードルは下がることが期待できます。
なぜ日本のEC事業者もInstant Checkoutに注目すべきか?
Instant Checkoutは、2025年時点では日本で展開していません。しかし、主に以下のような理由から、日本でもInstant Checkoutの動向をチェックしておくことが大切です。
ChatGPT利用者数やユーザーの指向が変化しているから
早期に米国の成功パターンを分析しておくことで日本展開時に優位に立てるから
事業者にとって販売チャネルを拡大するチャンスになりうるから

ChatGPT利用者数やユーザーの指向が変化しているから
2025年12月にOpenAIが発表したデータによると、ChatGPTの週間利用者数は「8億人以上」です。毎週8億人が利用していることからも、ChatGPTのニーズの高さがわかります。
また、2025年8月にAdobeが発表したデータによると、以下のデータも明らかになっています。
オンラインショッピングでAIを利用したことがある:38%
今年中にオンラインショッピングでAIを利用する予定である:52%
このように「AIを経由して商品を購入する」という考え方は一般的になりつつあります。
こうした背景を踏まえると、今後も利用者数が増える見込みのChatGPT上で「検索から購入まで完結できる仕組みの中で自社商品をピックアップしてもらえる」というのは企業にとって大きなメリットです。
とくに現在では、楽天やAmazon、Shopify、BASEをはじめとして、数多くのECプラットフォームが登場しています。こうした中で検索経由で自社のプラットフォームを見つけてもらい購入までつなげるというのは、ハードルが高いかもしれません。Instant Checkoutであれば、ユーザーのニーズにマッチしていれば取り上げてもらえる可能性が高いため、無理に広告費を投下しなくても自社の売上をアップできる可能性があります。
早期に米国の成功パターンを分析しておくことで日本展開時に優位に立てるから
Instant Checkoutは2025年9月に開始したばかりのサービスであるため、まだまだ成功のコツやピックアップされやすい商品の傾向などの情報は少ないかもしれません。しかし、そうした中でも米国の成功パターンをチェックしておくことで、今後日本で展開された際に他社より優位にスタートできるかもしれません。
例えば、以下のような観点を踏まえることがおすすめです。
どのようなジャンルの商品がピックアップされやすいのか?
ピックアップされるにはどんな情報が必要なのか?
どのようなチャットの文言で検索されているのか?
事業者にとって販売チャネルを拡大するチャンスになりうるから
従来の検索経由の場合、「SEOが強くすでに検索上位に表示されている」「知名度が圧倒的に高いプラットフォームを指名検索する」という傾向にありました。
Instant Checkoutであれば、ユーザーのニーズにマッチする商品を取り扱っていれば、自社と接点がないユーザーに対してもおすすめされる可能性があります。また、ChatGPT経由で購入するユーザーが増えれば、新たな顧客接点を築き新規の販売チャネルとして開拓可能です。
とくにInstant Checkoutであれば「複数のサイトを見て商品を比較する」「支払い情報を入力する」といったプロセスを短縮できます。購買行動におけるユーザーの負担を減らせるため、購入前の離脱を防ぎコンバージョンの改善まで期待できる点が魅力です。
Instant Checkout導入に備えEC事業者が取り組むべきポイント
Instant Checkoutは、現時点で日本での展開予定はありません(2025年12月時点)。しかし今後は対応地域が広がる予定であるため、日本でのサービス開始に備え、事前に以下の最低限の準備をしておくことがおすすめです。
会話型チャット経由での販売と相性がよいであろう商品を想定しておく
ECサイト内の商品情報を充実・最適化しておく
申請手続き方法を確認しておく
各種システムとの連携手順を確認しておく
社内体制を整備しておく
Instant Checkoutのアルゴリズムは公開されていないため、取り上げてもらう商品を完全にコントロールできるわけではありません。とはいえ、ChatGPTのような会話型AI経由で購入してもらいやすい商品を考えておくと「自社のサイトはマッチするか?」などを検討しやすくなります。例えば、ギフトや小物など「その場で即決購入しやすいアイテム」であれば、Instant Checkoutとの相性はよいかもしれません。
また、現在出ている情報をもとに「ChatGPTに取り上げてもらえるよう商品データを整理する」という意識も大切です。具体的には以下の情報を充実させておくと、ChatGPTから認識されやすくなるかもしれません。
特徴やブランド名を踏まえて商品タイトルを入れているか? 説明文に商品の特徴や魅力、利用シーン、解決できる課題などをまとめているか? サイズやカラー、価格、素材などの基本情報を含めているか? 在庫状況や入荷予定などをリアルタイムで正確に反映しているか? 商品の魅力や使い方などが伝わる画像を使っているか? 画像をalt属性付きでわかりやすくアップしているか? 「返品・交換について」「返金条件」「保証内容」といったよくある疑問点をFAQで明示しているか? 運営者情報を明示しているか?
|
Instant Checkoutへ参加するには「加盟店向け申請フォーム」からの手続きが必要です。ただし、仕様は変更される可能性があるため、こまめに内容をチェックしてください。
また、実際に利用する際は「決済手段」「ACP」との連携が必要です。決済手段については、2025年12月時点ではStripeと連携できます。クレジットカード払いや銀行振込、PayPayなどに幅広く対応していますが、念のため「自社で運用中の決済手段が含まれているか?」を確認してください。
そして、スムーズに運用を開始するには、社内体制も整えておくことが大切です。日本では開始していないため、いきなり専用部署を設ける必要はないかもしれません。とはいえ、担当者と連携し「Instant Checkoutに関する情報収集を進めてもらう」「商品ページの情報をこまめに更新する」などに取り組むだけでも、本格的なサービス開始後にスムーズに運用を開始できます。
Instant Checkoutの導入準備で押さえておくべき注意点
Instant Checkoutの導入準備を進める際は、以下の注意点も押さえてください。
ChatGPTが誤情報を出力する可能性が0ではない
顧客との関係構築のハードルが高まる
手数料が発生するためコストは膨らむ

前提として、ChatGPTのピックアップ商品が必ずしもユーザーのニーズにマッチしているとは限りません。もちろん、最大限ユーザーの要望を叶える商品をピックアップしてくれます。とはいえ、AIではハレーションが発生するケースもあるため、100%マッチする商品をおすすめすることは難しいかもしれません。もしユーザーのニーズにマッチしない状態で自社商品がピックアップされると、間接的に企業ブランドの低下を招く可能性も0ではありません。誤って在庫切れの商品を紹介したり偽ブランドを取り上げてしまったりするリスクもあります。
また、ChatGPT経由なら「過去に接点がないユーザーに購入してもらえる可能性がある」という点はメリットです。しかし、自社にマッチするユーザーへピンポイントでアプローチできるわけではありません。そのため、例えば「ターゲット像にマッチしないユーザーに表示される→初回購入はあったがリピーターにはならない」というように、顧客との関係性を構築するハードルは上がるかもしれません。
また、Instant Checkoutの利用時は「販売業者側」に手数料が発生します。自社プラットフォームの規模によっては、ある程度商品数が販売できるためコストを圧迫する可能性もあるため、注意してください。
今後の展開とEC戦略における影響
Instant Checkoutの今後の展開予定やマーケティング施策への影響についても、チェックしておいてください。
Instant Checkout自体は今後も拡大する予定
SEOを含めたデジタルマーケティング施策への影響
積極的に情報を取得しInstant Checkoutの運用開始に備えることが大切
Instant Checkout自体は今後も拡大する予定
確定ではありませんが、今後Instant Checkoutは以下の方針で拡大していく予定です。
米国以外の地域でも対応する
単品だけでなく複数商品を購入できるようになる
Shopifyを利用する100万以上の販売事業者(Glossier・SKIMS・Spanxなど)へ拡大する
日本でも使えるようになる可能性は高いため、今後の動きを注視してください。
参照:Search Engine Land
SEOを含めたデジタルマーケティング施策への影響
今後はGoogleやYahooなどの検索エンジンだけでなく、ChatGPTをはじめとしたAIチャットボット経由で商品を購入するケースが増えると予測されます。購入チャネルが変化しているため、「AIチャットボット経由での販売を最適化する施策」まで視野に入れることが必要です。
具体的には「SEO対策による上位表示を狙う+AIに自社を取り上げてもらえるようにする商品ページやサイト構造の最適化」というイメージで、複合的な戦実施が求められます。両者を並行して進めることで、例えば「SEOで上位表示される→サイトへの信頼が高まる→AIからの信頼性が高まる→結果的にInstant Checkoutで取り上げられる」といった相乗効果を狙えます。商品ページやサイトの最適化については「Instant Checkoutの導入準備でEC事業者が取り組んでおくべきポイント」の章をご覧ください。
積極的に情報を取得しInstant Checkoutの運用開始に備えることが大切
OpenAIの動きを見ると、今後Instant Checkoutが米国以外の地域で解禁されたり販売業者の幅が拡大されたりする可能性は十分考えられます。そうした拡大の動きに備え、ある程度は事前に「商品ページの情報を最適化する」「SEO対策にも注力して組み合わせられる準備をしておく」などを進めることが大切です。