Pinterest広告とは?媒体の特徴と他SNS広告との違い
そもそも「Pinterest」とは、インターネット上で見つけたお気に入りの画像や動画をピン留めして保存できるSNSです。インテリアのデザインや料理のレシピ、ファッション、旅行先など、幅広いジャンルの画像や動画を「自分のボード」に保存して見返すことができます。
そして「Pinterest広告」とは、このPinterest上で配信できる広告サービスです。フィード画面に馴染むように、自然な形で広告を配信できます。
具体的なPinterest広告の特徴について、以下の観点で解説します。
Pinterestのユーザー層と利用シーン
広告フォーマットの種類
他SNS広告との違い
Pinterestのユーザー層と利用シーン
XやInstagramといったSNSの場合、流れてきた投稿を受動的に眺めて、幅広い情報をまんべんなくチェックすることが一般的です。
一方でPinterestは「実行したいアクションに必要な情報収集」のために利用されます。例えば、以下のようなイメージです。
明日の献立を決めるために、料理のレシピ写真を検索してアイデアをもらう
部屋を模様替えするので、インテリアの写真をチェックして模様替えに反映する
来月の旅行に向けて観光地の写真をチェックし、行きたい場所を決める
主にライフスタイルに関する情報を能動的に収集するユーザーがメインです。そのため「何かのアイデアを探したりインスピレーションを思い浮かべたりすることに強い」という特徴があります。ユーザー層の割合は「女性 70%・男性30%」です。
参照:Pinterest公式サイト
広告フォーマットの種類
Pinterest広告のフォーマットは、以下の10種類です。
フォーマット | 概要 |
スタンダード画像アド | 1枚の画像を表示できるフォーマットです。 |
スタンダード動画アド | 動画を挿入できるフォーマットです。 |
ワイド動画アド | ユーザーのモバイル画面全体に表示されるフォーマットです。ペイドフォーマットでのみ利用できます。 |
動画/オーディオコーデック | AVIやAdobe Flash、Matroska、IMFなど、幅広い種類のコンテナフォーマットに対応したフォーマットです。 |
カルーセルアド | 複数の画像で構成されたフォーマットです。スワイプすることで、複数の画像をチェックできます。 |
ショッピングアド | 仕様自体は、スタンダード画像アドと同じです。ユーザーは表示画像から、Pinterestで見つけた商品を直接購入できます。 |
コレクションアド | スマホのフィード上に「メイン画像1枚」および「関連画像3枚」が表示されるフォーマットです。 |
アイデアアド | 複数の画像や動画、リスト、カスタムテキストを組み合わせ、1件のピンとして表示するフォーマットです。 |
ショーケースアド | 複数カードを使用したマルチレイヤー型のフォーマットです。スワイプ可能な各カード内には、別コンテンツや商品などへの外部リンクを含めて、最大3点を追加できます。 |
クイズアド | 複数の選択肢による質問と回答を備えたフォーマットです。各クイズの結果内には、別コンテンツや商品などへの外部リンクを追加できます。 |
各広告フォーマットの具体的な作成ツールやファイルのタイプ、最大のファイルサイズ、上限文字数などは、以下のPinterest公式サイトをご確認ください。
参照:Pinterest|広告仕様を確認する
他SNS広告との違い
他のSNS広告と異なる点として、主に以下が挙げられます。
詳細なターゲティングが可能なため、よりピンポイントでターゲットにアプローチできる
ユーザーのフィードに馴染む形で表示されるため、広告特有の押しつけがましさがない
広告効果を手軽かつ正確に分析しやすい
Pinterest広告は、オーディエンスやインタレストといった7項目を駆使して詳細にターゲティングできます。また、メインターゲットと近い興味を持つユーザーへアプローチできる「拡張」という項目もあるため、必要に応じてリーチ先を増やすことも可能です。
広告自体はユーザーのフィードに馴染む形で配信されるため、SNS広告にありがちな不自然な投稿が紛れ込むことによるストレスもほとんどありません。
効果分析の際は、広告を閲覧したユーザーの属性や興味関心、効果などをレポートでまとめられる機能「広告パフォーマンスレポート」を活用できます。
Pinterest広告運用を代理店に依頼するメリット
Pinterest広告の運用を代理店へ依頼するメリットは、大きく以下の4点です。
運用工数を削減しつつ専門ノウハウを活用できる
効果改善をスピードアップできる
クリエイティブ制作を含むトータル支援が受けられる
他SNS広告との連携戦略が立てやすい
運用工数を削減しつつ専門ノウハウを活用できる
自社でPinterest広告を運用する場合、以下のような作業を自社で実行しなければなりません。
アプローチすべきターゲットを分析する
目的に合わせて適切な広告フォーマットを選定する
商材の魅力が伝わるようにクリエイティブを制作する
配信日時やアドグループなど詳細な設定を行う
運用結果をレポートにまとめて改善策を検討する
A/Bテストを実施して施策を改善する
運用作業は工数がかかるだけでなく、Pinterest広告に関する専門知識も必要です。企業によっては、自社のコア業務がある中で運用作業に時間を割くことは、難しいかもしれません。
代理店であればPinterest広告に関する豊富な知識を活かし、商材やターゲットを踏まえたクリエイティブ制作や施策の設計などを一任できます。
また、代理店が持つPinterest広告の運用スキルを自社に蓄積できれば、将来的な内製化も可能です。代理店によっては内製化の支援を実施しているため、専門スキルを活用できる環境を効率的に整えられます。
効果改善をスピードアップできる
Pinterest広告で理想の成果を残すには、PDCAサイクルを回し、継続的に施策を改善することが大切です。具体的には、以下のようなイメージです。
画像を別の商材に差し替えるべきか?
配信先のターゲット層を変更すべきか?
動画のストーリーを見直すべきか?
キャッチコピーを見直すべきか?
代理店であれば専門的な知見をもとに改善点を洗い出し、次回以降の改善案をスピーディーに設計・実行できます。
クリエイティブ制作を含むトータル支援が受けられる
代理店からは、以下のように幅広い運用サポートを受けられることが一般的です。
アクセス解析やターゲット分析といった戦略設計を実行してくれる
画像制作や動画撮影などを含めたクリエイティブ制作を依頼できる
実行した施策の成果をレポートにまとめて定期的に共有してくれる
A/Bテストを実施し改善してくれる
配信戦略の設計から施策実行後の改善提案まで、トータルでサポートしてもらえるため、自社で投下するリソースを大幅に削減できます。
他SNS広告との連携戦略が立てやすい
代理店であれば、Pinterest広告以外のSNS広告に関する知見も豊富です。そのため各SNSの情報や特性を活かし、双方を組み合わせたクロスメディア戦略を設計できます。例えばPinterestとInstagramを連携することで、Instagramの投稿を自動でPinterestにも投稿できます。Instagramの魅力的な画像や動画は、Pinterestのユーザー層にもマッチするため、自社への興味を惹きつけやすくなるかもしれません。
Pinterest広告代理店の費用相場
Pinterest広告の代理店へ依頼する際は、以下の観点も踏まえつつ費用相場をチェックしてください。
運用手数料は広告費の20%前後が一般的
支払い料金に関する確認事項
少額運用したい場合の注意点
運用手数料は広告費の20%前後が一般的
運用手数料は「広告費の20%前後」が一般的です。ただし、具体的な料金は運用の規模によって変動するため注意してください。
例えば毎月の広告費を数千万円単位で設定した場合、そのまま20%を適用すると、代理店への支払い金額が増えすぎてしまいます。そのため、広告費が大きい場合は手数料の割合を引き下げることが一般的です。
支払い料金に関する確認事項
支払い料金については、運用手数料の割合だけでなく以下の点も確認してください。
最低出稿金額は設定されているか?
初期費用は設定されているか?
最低契約期間は設定されているか?
最低出稿金額は、10万円前後が一般的です。代理店によっては「最低出稿予算はないが最低手数料がある」「請求金額が一定以下なら一律料金を支払う」といったケースがあるため、必ず事前に確認してください。
初期費用については、5万円前後が相場です。代理店によっては、初期設定費や初期構築費といった名称が付けられています。初期費用は無料でも「スポット配信を実施した」「請求金額が一定以下だった」という場合に別途で費用が発生するケースもあるため、事前に確認してください。
最低契約期間については、定められていないことが一般的です。しかし、広告運用は成果を出すまでに時間が必要なため、代理店によっては「最低3ヶ月での運用を推奨」などと明記しています。
少額運用したい場合の注意点
コスト削減のために少額運用を検討する場合、主に以下の点に注意しましょう。
長期的な目標達成は難しくなる
別途で支払い料金が発生するケースがある
Pinterest広告は、長期運用して改善を繰り返し、少しずつゴールへと近付ける施策です。そのため、運用が短期間で終わると、目標達成前に出稿を取り下げることになるかもしれません。確かに短期的なコストは削減できます。しかし、長期的な成果を出せなければ費用対効果は低下し、結果的に無駄なコストを支払うだけになるため、注意してください。
さらに上記で解説したように、代理店によっては少額運用の場合に別途手数料や初期費用などが発生します。
このように、自社が望むコスト削減につながらない可能性もあるため、十分に注意してください。
代理店の選び方|失敗しないためのチェックポイント
代理店選びで失敗しないために、以下5つのチェックポイントを押さえてください。
自社に近い企業での実績・事例はあるか?
料金体系は明確化されているか?
どのようなクリエイティブの制作体制を取っているか?
どこまでサポートしてくれるか?
担当者の対応力とコミュニケーション能力は高いか?
自社に近い企業での実績・事例はあるか?
自社に近い業界や商材、サービスにおける実績が豊富であれば、以下のようなポイントを意識しながら、高いクオリティで運用してもらえます。
ターゲットはどのようなクリエイティブに反応するのか?
ターゲットが抱える一番の悩みは何か?
どのような業界の慣習を意識すべきなのか?
どのフォーマットを使うべきなのか?
代理店の公式サイトに、過去の制作物や具体的な成果、導入事例などが掲載されているため、依頼前にチェックしてください。
料金体系は明確化されているか?
料金体系の内訳は、以下のように代理店ごとで異なります。
料金体系が不明瞭な場合、契約後に「想定予算では出稿金額が少ないため追加料金が必要になる」といったトラブルが発生するかもしれません。
自社の予算内でスムーズに運用できるよう、「基本の料金体系は?」「料金内に含まれる作業範囲は?」などを確認してください。
どのようなクリエイティブの制作体制を取っているか?
クリエイティブの制作体制は、以下のように代理店ごとで異なります。
画像や動画、テキストを使った幅広いクリエイティブ制作に対応できる
代理店が保有する撮影スタジオで制作できる
代理店内に映像制作者やカメラマンなどのクリエイターが在籍している
専任のデザイナーチームがバナー広告を制作している
「クリエイティブ制作を丸ごと委託したい」「ある程度は自社でクリエイティブを制作できる」というように、自社のニーズにマッチする制作体制を整備している代理店を選ぶことが大切です。
どこまでサポートしてくれるか?
運用中のサポート体制は、以下のように代理店ごとで異なります。
運用の戦略設計やクリエイティブ制作などをワンストップで実行してくれる
Pinterest広告以外のSNS広告と組み合わせた施策まで提案してくれる
施策結果をレポートにまとめて改善提案まで行ってくれる
将来的な内製化を見据えて運用サポートを行ってくれる
対応範囲が幅広いため、自社での必要性を踏まえてサポート内容を選ぶことが大切です。
例えば「今後は広告運用の完全な内製化を目指したい」という場合、自社内で運用担当者を育成してくれる代理店を選ぶことがオススメです。あるいは「運用中の別のSNS広告と連動させたい」ということなら、Pinterest広告と組み合わせた施策を提案できる代理店を選んでください。
担当者の対応力とコミュニケーション能力は高いか?
広告運用では、基本的に専任担当者が就いて戦略設計や施策改善のアドバイス、クリエイティブ制作などを行います。そのため、スムーズに広告を運用できるかは、担当者の力量に左右されます。
適切な広告運用を実現できるよう、以下のようなポイントを意識して、担当者の対応力やコミュニケーション能力を確認してください。
質問へ的確にわかりやすく回答してくれるか?
レスポンスは早いか?
成果が出ないときはスピーディーに改善策を提案してくれるか?
自社の業界や慣習などへの知識は豊富か?
自社からの指示の意図を汲み取ってプラスαで作業を進めてくれるか?
代理店によっては「原則3時間以内に返信する」というようにコミュニケーションの方針を明記しているため、不安であればチェックしてください。
Pinterest広告代理店に依頼する流れ
Pinterest広告代理店に依頼する基本的な流れは、以下の通りです。
Step.1 初回相談でヒアリングを行う
Step.2 施策を提案してもらいKPIを設定する
Step.3 契約を締結し初期設定(タグ設置やアカウント開設など)を行う
Step.4 広告素材を制作し入稿する
Step.5 配信を開始し改善サイクルを回す
具体的な流れは、各代理店のホームページをチェックしてください。
Step.1 初回相談でヒアリングを行う
初回相談では、主に以下のような内容をヒアリングしてもらいます。
現状の課題点
自社商品やサービスの特徴
達成したい目標
アプローチしたいターゲット層
相談前に上記の内容をまとめておくと、ヒアリングをスムーズに進めて、代理店から具体的な提案を受けやすくなります。
また、すでにPinterest広告を運用している場合、配信結果の確認画面を準備してください。過去の運用結果をもとに改善点を洗い出し、今後の方針を立てやすくなります。
Step.2 施策を提案してもらいKPIを設定する
ヒアリング結果をもとに、具体的な施策を提案してもらい、KPIを設定します。設計してもらった施策やKPIは、以下のようなポイントを踏まえてチェックしてください。
自社商材やサービスの魅力を理解したうえで施策を作っているか?
現実的に達成可能なKPIを立てているか?
ターゲット像を踏まえて適切なプランを作成できているか?
自社の予算内でベストな施策を設計しているか?
Step.3 契約を締結し初期設定(タグ設置やアカウント開設など)を行う
提案内容に合意したら、契約を締結しアカウントの初期設定を行います。
基本的にタグの設置やアカウント開設などは代理店側で実行しますが、自社でも導入手順を知っておくことがオススメです。自社で初期設定方法を大まかに把握しておけば、「どの作業にどれくらいの時間がかかるのか?」「今はどのフェーズで何をやっているのか?」など考えやすくなり、今後の自社のアクションを設計しやすくなります。
Pinterest広告の具体的な設定方法は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:Pinterest広告 始め方 ※執筆中
Step.4 広告素材を制作し入稿する
施策に沿って、広告素材を制作します。画像・動画撮影やデザイン制作などは、代理店にワンストップで依頼可能です。作業をスムーズに進められるよう、使いたい画像や動画、制作済みクリエイティブなどが社内に用意されていれば、事前に代理店へ共有してください。
Step.5 配信を開始し改善サイクルを回す
素材が完成し配信設定も終わったら、本格的に運用を開始します。配信開始前には、必ず対象地域やクリエイティブのコピー、画像・動画、広告のリンク先などをチェックしてください。
配信後はレポートで運用成果をまとめてもらい、定期的に振り返りを実施します。具体的な数値をもとに改善箇所を洗い出し、次回以降に向けて修正することで少しずつ理想の成果へと近付きます。
レポートのサンプルや更新頻度、ミーティングの開催頻度などは代理店の公式サイトに記載されていることが多いため、確認してください。
依頼前に社内で確認しておくべきこと
代理店へ依頼する前に、社内で以下の点を確認してください。
Pinterest広告を出稿する目的は?
毎月の広告予算は?
自社内でどこまで素材を制作するのか?
社内の運用責任者は誰を任命するか?
とくに広告運用において「出稿目的」は重要です。目的が曖昧では、ゴールから逆算したクリエイティブ制作やターゲット選定などを実行できず、施策の方向性がズレる恐れがあります。また、施策を改善する際も正しい方向性も洗い出せません。
スムーズにPinterest広告を運用し理想の成果を出すためにも、必ず「商品の認知度を高める」「前年よりコンバージョン率をアップさせる」といった目的を設定してください。