デジタルマーケティングとウェブマーケティングの違い
まずは、デジタルマーケティングとウェブマーケティングの定義を整理しましょう。
デジタルマーケティングは、以下の3つの要素を持つマーケティングのプロセス・手段を指します。
デジタルメディア・テクノロジーを活用するマーケティングのプロセス・手段
自社の商品・サービスと顧客・潜在顧客と関係を築き、売れる仕組みをつくるもの
幅広いデータを用いて、検証・進化させてゆくもの
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一方、ウェブマーケティングとは、ウェブサイトを中心としたマーケティングのプロセス・手段です。
ウェブマーケティングはデジタルマーケティングの一部です。ウェブマーケティングはウェブサイトを中心とした手法が多いことに対し、デジタルマーケティングではウェブにとどまらない技術やシステムを用いたマーケティング手法です。
▼デジタルマーケティング・ウェブマーケティングの手法マップ
デジタルマーケティングとウェブマーケティングとの違いを理解するには、「ウェブ」と「デジタル」のそもそもの定義に立ち返ると分かりやすいでしょう。似たような用語も含めて、簡単に定義を整理します。
結論から言えば、「ウェブ」がもっとも狭い定義で、そこから「インターネット」「IT」「デジタル」とどんどん示す範囲が広くなります。これに伴い、該当するマーケティング手法もどんどん多くなります。
ウェブ・デジタルに関連する用語
【ウェブ】
ワールドワイド‐ウェブ【world wide web】 の解説
インターネットで標準的に用いられる情報提供システムの一つ。データ転送プロトコルのHTTP、情報資源の所在を指定するURL、マークアップ言語のHTMLなどの基本技術で構成される。WWW。ウェブ。
[補説]webの原義はクモの巣。世界中に情報網が張り巡らされている様子を表したもの。
引用:goo辞書
【インターネット】
個々のコンピューターネットワークを相互に結んで、世界的規模で電子メールやデータベースなどのサービスを行えるようにした、ネットワークの集合体。データのやりとりにTCP/IPという標準化された通信規約(プロトコル)を用いるため、個々のコンピューターの機種によらず通信を行える。また、WWW(ワールドワイドウェブ)という標準的な情報提供システムが用いられ、文書以外にも画像や音声、動画などのデータを閲覧・視聴できる。
引用:Weblio辞書
【IT】
information technology の略。情報技術。コンピューター・インターネット・携帯電話などを使う、情報処理や通信に関する技術を総合的に指していう語。国際的には、ほぼ同じ意味でICT(情報通信技術)が広く使われる。
引用:goo辞書
【デジタル】
情報を0と1の数字の組み合わせ、あるいは、オンとオフで扱う方式。数値、文字、音声、画像などあらゆる物理的な量や状態をデジタルで表現できる。対義語はアナログ。
引用:ASCII.jpデジタル用語辞典
本来の意味はすべてのデータを一定範囲内の数値で表すこと、もしくは表した状態です。より広い意味でとらえると、「世の中に存在するものや出来事などを、コンピュータで扱えるデータの形にした状態」を指します。
引用:朝日新聞出版「パソコンで困ったときに開く本」
それぞれの関係を図で表すことは難しいものの、あえて整理してみると、以下のようになるのではないでしょうか。
▼ウェブ・デジタルに関連する用語
このように見てみると、ウェブがシステム、もしくはウェブサイトそのものを示しているのに対して、デジタルが、表現方法・状態とかなり広範な対象を持っていることが分かります。「ウェブマーケティングはデジタルマーケティングの一部」という捉え方の所以はここにあります。
ウェブマーケティングからデジタルマーケティングへの変遷
デジタルマーケティングとウェブマーケティングの違いについて、インターネットの発展の歴史の側面からみていきましょう。
これらを押さえておくと、「ウェブ」の定義から外れて慣例的に分類されているものや、技術革新とデジタルマーケティングの関係性が理解しやすくなります。
ざっくりと説明すると、もともとのインターネットの広まりと共に発達してきたマーケティングはウェブからスタートしたものだったので「ウェブマーケティング」と呼ばれていました。デジタル的マーケティング=ウェブしかなかったのです。
しかし、ウェブの枠に収まりきらない技術が登場し、またそれらの技術を用いて企業が顧客と接点を持ち、関係性を築いてゆくことが必要になった結果、ウェブを超えたマーケティング手法が数々生み出されました。その新しい枠組みとして「デジタルマーケティング」という考え方・用語が用いられるようになったようです。
▼ウェブマーケティングからデジタルマーケティングへの変遷
簡単な年表と、消費者行動の変化を紹介します。
インターネットとデジタルマーケティングの発展の歴史
もともと1990年代までの日本では、新聞やテレビといったマスマーケティングが主流でした。しかし、90年代以降のインターネットの発達・ユーザーの増加やGoogleの検索連動型広告実装を皮切りに、個人・中小企業を中心にウェブマーケティングが地位を高めてゆきます。
検索連動型広告(リスティング広告)は1円からでも出稿できるオークション形式の広告です。少ない投資ではじめられるという性質から、個人や中小企業で特に受け入れられました。
2000年代に入り、ショートムービーやユーザーが関与できるコンテンツの登場により存在感を増したことや、2008年のリーマンショックの影響で多くの企業ではマーケティング予算を削減され、小回りの利くインターネット広告への出稿も増えたことを要因として、ウェブマーケティングはますます広がってゆきます。
2010年にはインターネット広告費が新聞広告費を上回り、ついには2021年、マスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)広告費の総計も突破しました。
▼インターネット広告費の総計は、前年比121.4%の2兆7052億円に到達。マスコミ四媒体広告費の総計2兆4538億円を上回った。
引用:電通報「「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る」
このような技術革新や人々のニーズの高まりを背景に、ウェブにとどまらないインターネット・ITを活用したマーケティングや分析手法が開発・普及してゆきました。
今後は、AIや5G、メタバースといった新しい技術を背景とするマーケティング手法が登場することは間違いなく、デジタルマーケティングの選択肢はますます増えるでしょう。
▼インターネット普及とウェブ・デジタルマーケティングの大まかな歴史
1985
1994
「ホームページ・ビルダー」発売。個人のウェブページ作成の敷居が下がる
AT&Tによる世界初のバナー広告(ディスプレイ広告)が掲載
1995
「インターネット」が新語・流行語大賞でトップ10入り
Windows 95発売、大ヒット
1996
「Yahoo!JAPAN」サービス開始。バナー広告を取り扱い始める
1998
初代iMac発売、インターネットの更なる広がり
「Google」登場。新しいアルゴリズムの検索エンジンの時代へ
1999
クリック保証型によるバナー広告(アフィリエイト)が日本に登場
2000
Googleにより、検索連動型広告(リスティング広告)の世界初実装。
ECサイト「Amazon.co.jp」オープン。
2005
日本のインターネットの世帯普及率が80%を超える
Googleがアクセス解析ツールGoogleアナリティクスの前身となる「urchin」を買収。アクセス解析の広まりへ
Youtubeが誕生。
2006
アクセス解析や効果測定の浸透とともに、LPO(ランディングページ最適化)やEFO(エントリーフォーム最適化)が広まりはじめる
2008
リーマンショック。
iPhone 3Gが日本で発売。「スマートフォン元年」と呼ばれるように。
2010
iPhone 4シリーズ発売。スマートフォンの世帯普及率が増加する契機に
2011
東日本大震災。通信障害に左右されやすいSNSが活用され、その後スマートフォンの買い替えやSNSユーザー増加のきっかけに。
「LINE」登場。
2019
2021
インターネットの広告費が、マスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)広告費の総計を突破
消費者行動の変化|AIDMAからAISASへ
検索エンジンの発達やスマートフォンの普及などにより、消費者の行動や心理にも変化が産まれました。代表的な変化は、「AIDMAからAISASへ」です。
AIDMA(アイドマ)とは、1920年代にサミュエル・ローランド・ホールが提唱した広告宣伝に対する消費者の購買行動モデルです。サミュエルによれば、消費者がある商品を知ったときに、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の順番で購入に至るとしています。この頭文字をとって、「AIDMA」と呼ばれます。
インターネットの登場以前、消費者や企業は、マスメディアや企業の営業担当者を通じて情報を得ることが一般的で、AIDMAが受け入れられていました。しかし、インターネットの普及・活用にともなって、購買行動に変化が生まれます。2004年に電通により、新しいモデルとしてAISAS(アイサス)が提唱されました。
AISASでは、消費者がある商品を知ったときに、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の順番で購入に至るとしています。AIDMAと比較すると、Desire(欲求)・Memory(記憶)がSearch(検索)に置き換わり、Action(購買)のあとにShare(共有)が追加されています。
このように技術の変化が私たちの生活に新しい行動を生み出し、それに合わせたマーケティングが生まれてきたのです。
デジタルマーケティング・ウェブマーケティングの手法マップ
あらためてデジタルマーケティング・ウェブマーケティングでよく用いられている手法を確認してみましょう。
ただ、前の章で説明したとおり、ウェブ・デジタルマーケティングの区別はそもそも捉えづらいものです。どちらにも当てはまるものがあったり、元は片方に属していたものがもう片方の意味合いを持つようになったりと、明確に分けることが難しくなってきているものもあります。
そのため、「〇〇はウェブマーケティング」「〇〇はデジタルマーケティング」と明確に区別しようとするのではなく、あくまで参考として考えるのが良いかと思います。
▼デジタルマーケティング・ウェブマーケティング手法マップ
デジタルマーケティングの手法・ツール
チャットボット
ユーザーからの問い合わせにチャットツールで対応するシステム。有人で対応するもの、AIなどが無人で対応するものなどがある。
LINE公式アカウント
LINE社が提供する法人向けサービス。企業や団体がLINEアカウントを開設し、ユーザーとの接点を構築できる。
OMO
Online Merges with Offline(オンラインとオフラインを融合)の略。オンライン・オフラインの垣根を超えて一貫したサービス・マーケティング戦略を構築してゆこうとするもの。
O2O
Online to Offline(オンラインからオフラインへ)の略。見込み客獲得などのために、デジタルメディアからオフラインのリアル店舗などにユーザーを誘導するマーケティング。
デジタルサイネージ
店頭・公共施設・交通機関・市中などにディスプレイなどを用いて映像情報を発信できるメディア。
セミナー(ウェビナー)
あるテーマについて興味関心のある人を集め、知識やノウハウを講義するイベント。ウェビナーは、ビデオ通話などで行われるセミナー。
オンライン接客
電話・メール・チャット・ビデオ通話などを通じて、販売員がオンラインで接客を行う
ウェブマーケティングの手法・ツール
SEO
Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略。Googleなどの検索エンジンのアルゴリズムに最適化した調整を行うことで、ウェブサイトの成果を向上させようとする取り組み。
ディスプレイ広告
ウェブサイトの広告枠に表示される、画像・動画・テキストなどの広告。バナー広告とも呼ばれる。
リスティング(検索連動型)広告
Googleなどの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告。
アフィリエイト
成果報酬型広告。サービスプロバイダを通じて、企業とメディア運営者が繋がり、成約に応じて報酬が支払われる仕組み。
ホワイトペーパー
ユーザーに役立つ情報やノウハウをまとめた資料。主に、自社製品や、サービスへの興味への喚起や関係構築の目的で作られる。
プレスリリース
商品・サービス・事業といった企業の公的なニュースや情報を、第三者メディアが活用できるようにまとめた資料・ページ
アクセス解析
ウェブサイトを訪れたユーザーの属性や行動履歴などを解析すること。
デジタルマーケティング・ウェブマーケティングで活用できる手法・ツール
CRM
Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略。顧客の情報を管理できるツール。
SFA
Sales Force Automation(営業支援システム)の略。企業の営業部門における情報やプロセスをデータ化・自動化し、管理を支援するツール。
MA
Marketing Automation(マーケティング活動自動化)の略。顧客管理とスコアリンクを通じて、確度の高い見込み客へのアプローチや見込み客の意欲醸成をサポートできるツール。
DMP
Data Management Platform(データ管理プラットフォーム)の略。外部から提供されたユーザーのデモグラフィックデータや自社保有のアクセス・購買行動データといったインターネット上に蓄積されたさまざまなデータを一元管理できる。
動画
広告やチャンネル・アカウント運用により、動画でユーザーと接点を持つ。
SNS
広告やアカウント運用により、Twitter・Instagram・Facebook・TikTokなどのSNSユーザーと接点を持つ。
メールマガジン(※1)
メーリングリストに登録された対象者に向けて、メールで行われる商品・サービス・企業に関する一斉情報発信。
MEO
Map Engine Optimization(マップ検索エンジン最適化)の略。Googleビジネスプロフィールなどに登録し、Google検索・Googleマップ検索に表示される店舗・企業・施設などが上位表示されるように施策をおこなうこと。
ダイレクトメール・ダイレクトメッセージ
個人に向けて宣伝目的で送られるメールや印刷物。ダイレクトメッセージは、SNSを利用したもの。
※1…メールマガジン・メールマーケティングは、伝統的には、ウェブマーケティングとされていることが多いですが、本来のウェブの定義からは外れるため、周縁部に配置しています。
アナログマーケティング(※2)の手法・ツール
テレアポ(※3)
テレフォンアポインターの略。ユーザーに電話をかけ、訪問や商談などの約束を取り付ける。
展示会
一定のテーマに沿って企業が出展を行い、自社の商品やサービスの認知獲得や顧客獲得などを目指すイベント。
チラシ
看板広告
交通広告
駅、電車、バス、タクシーなどの公共交通機関に掲載された広告。
新聞広告
雑誌広告
ラジオ広告
テレビ広告
※2…もともとの呼称としては単なる「マーケティング」とするのが正しいと思われますが、デジタルマーケティングと区別するためにあえて「アナログマーケティング」と呼称します。
※3…電話は定義からすればデジタルマーケティングとも考えられますが、歴史的背景からアナログマーケティングに分類しています。
導入が進む次世代ツール
xR(AR・VR・MR)
Cross Reality・Extended Realityの略。Augmented Reality(拡張現実)・Virtual Reality(仮想現実)・Mixed Reality(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合し知覚できる技術の総称。
メタバース
AI
Artificial Intelligence(人工知能)の略。認識・推論・言語運用・判断・創造・学習などの知的な行動をコンピュータに行わせる技術や分野。
フィンテック
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。従来の金融分野にIT技術を組み合わせて生まれた新しいサービスや事業領域。
5G
第5世代移動通信システム。従来の4Gに比べて大容量、低遅延、多数同時接続など大きく能力が改善された規格。
IoT
Internet of Things(モノのインターネット)の略。アイオーティー。コンピュータではない「モノ」がインターネット経由でつながり、通信できる仕組み。
センシング
センサーを利用して、さまざまな情報の計測・数値化を行う技術。
ウェブ・デジタルマーケティングを活用するメリット
ここからは視点を変えて、デジタルマーケティング・ウェブマーケティングを活用するメリットについて説明しましょう。
スマートフォンが普及し、わたしたちの消費行動もデジタルメディア抜きで考えられない現代においては、業界を問わず、もはやデジタル抜きでのマーケティングではバランスを欠いてしまうでしょう。
実際、多くの企業がデジタルマーケティングを重視しています。TIS株式会社によれば、95%以上の企業がデジタルマーケティングの重要性を感じています。
引用:TIS株式会社「マーケティングに関するアンケート」
また、コムエクスポジアム・ジャパン株式会社によれば、2023年度の広告マーケティング予算の増減予定について「増加」と回答した企業は、38.4%にのぼっています。
引用:コムエクスポジアム・ジャパン株式会社
企業においてデジタルマーケティングを取り入れ活用する具体的なメリットを、3つ整理して紹介します。
メリット1.手軽かつ安価にアプローチができる
特にテレビ・新聞などのマスマーケティングでは1つのマーケティング施策の規模が大きく、リーチできるユーザーの数も多く莫大な効果が見込めます。しかしその一方で、コストも大きくなりがちで、中小企業や特定のエリア対象とした商品・サービスの広告を出すのには向いていませんでした。
デジタルマーケティングの施策では、一括大量の情報発信を行うことは少なく、低コストの小さな企画を効果を見ながら進めることが多いため、得られる効果を見ながら、予算に応じた施策を進めやすいです。また、長期に継続することで、見込み客に対して何度も接点を構築できるメリットもあります。
メリット2.データ収集・分析~改善までスピーディーに行える
デジタルマーケティングでは、アナログマーケティングと比べてデータ収集の質が高く、分析と改善を繰り返しやすい特徴があります。データ分析ソフトとウェブサイトの連携により、ユーザーがウェブサイトを訪れた時刻、閲覧時間、購入者の属性、履歴などの情報をデータとして収集できます。
近年のプライバシー意識の高まりや情報取得規制により、ウェブサイトの種類によってはデータの取得が難しくなる場合もありましたが、現在でも、データ分析ソフトの精度向上や1st party Cookieデータの活用によって、マーケティング施策や製品の改善につながるデータ収集・分析は多くのウェブサイトで十分可能です。また、 位置情報、実店舗データ、POSデータ、ウェアラブルデバイスによるデータなどといったウェブサイトにとどまらないデータも含めてユーザーのニーズやインサイトを探ることも活用されています。
メリット3.コンテンツが資産になり、半永久的に集客できる
特にウェブサイトやSNS・動画アカウントの運用などのオウンドメディア施策において、作成した1つ1つのコンテンツがストックされ資産となり、コストパフォーマンスよく集客に繋げられる可能性があります。
テレビCMや看板広告などのように費用を払って広告を掲載する媒体においては、公開期間が決まっていたり、広告出稿を辞めるとユーザーに届くことはほとんど無くなります。
しかし、自社のウェブサイトやアカウントといったオウンドメディア、あるいは、それらをシェアするユーザーの投稿ならば公開を停止しない限りずっと表示でき、広告掲載費用をかけずに集客できる可能性があります。
ただし、ユーザーのニーズから外れた発信やターゲットにマッチしないコンテンツでは、当たり前ですが、成約にはつなげにくいことは言うまでもありません。時代にそぐわないような発信を行うことで資産ではなく「負債」となってしまうこともあるため、全てのストックされたコンテンツで価値を発揮できるわけではない点には注意が必要です。
ウェブ・デジタルマーケティングの業種別活用例
デジタルマーケティングの手法は広範なので、これから導入したい企業としてはどのように取り入れ、どう活用すべきなのか迷うかもしれません。
それぞれの事業目標や目的に応じて、いろいろな支援会社に相談してみる、というのももちろん悪いことではなく、弊社でも「こういうことがやりたいんだけど、どういうデジタルマーケティングができるのか?」とご相談をいただくこともよくあります。
自社のデジタルマーケティング活用のイメージづくりのために、簡単に、一般的な業種別のデジタルマーケティング活用事例を紹介します。
製造業の例
▼課題例
拠点が多くあり、従業員のITリテラシーにもバラつきがあるため、マーケティング担当者の施策が社内に浸透しづらい
企業の認知がなく、採用がうまくいっていない
商材は理解しづらいものが多く、ウェブサイトだけでは伝わらない
▼デジタルマーケティング施策例
学生・求職者・従業員にも活用できるブランディングサイトを構築する
既存顧客のデータなどから自社と相性の良いターゲット属性を割り出し、リスティング広告を出稿する
展示会やセミナーからウェビナーに切り替え、多くの属性が参加しやすい環境を作る
IT業界の例
▼課題
自社開発のソフトウェアの紹介をしているウェブページでは、製品の概要や活用事例、特徴的な機能などがわかりやすいように工夫されているが、サイト訪問数が思うように伸びず、PDCAを繰り返し行っているが購買件数が増えない
▼デジタルマーケティング施策例
ASPに登録し、アフィリエイト広告で問い合わせを増やす
SEOや広告配信により、ウェブサイトへのアクセスが増えるように取り組む
インフルエンサーに製品をテストしてもらい、新規ユーザーの認知を広げる
契約を更新した顧客と更新しなかった顧客のスコアや履歴を見直し、製品の改善につなげる
人材紹介会社の例
▼課題
サービスページのアクセスはあるが、成約につながらない
求職者とのやりとりに工数がかかりがち
競合が多く、低価格競争になりがち
▼デジタルマーケティング施策例
ウェブサイト導線やフォームを見直し、成約へのハードルを下げる
求職者からよくある質問などをまとめたチャットボットなどを活用し、業務効率化を図る
ウェブサイトに訪問歴があるユーザーを対象としたディスプレイ広告を配信する
ターゲットユーザーの興味・関心のあるテーマでウェビナーを実施し、利用を促す
小売店の例
▼課題
ターゲットの来店が少ない
在庫管理に手間がかかる
採用が滞っており、人材不足
価格競争に疲弊している
▼デジタルマーケティング施策例
MEOやSNSへの予算を増額し、集客とブランディング施策を進める
顧客の購入データから、季節や天気に合わせた需要予測を行い、システムを活用した発注・在庫管理を行う
AIカメラやレジカートを活用した無人店舗を設置する
インフルエンサーを活用した企画で、商品に付加価値を付ける
このように、業種・業態それぞれの多くの課題に対して、デジタルマーケティングが活用できることは多くあります。ただし、これらの課題・施策例は一例であり、実際のデジタルマーケティングの運用では、自社のそれぞれの課題と強みに応じた適切なマーケティング施策を選ぶことが重要です。