今や幅広いシーンで活用されているAI。ビジネスシーンはもちろん、マーケティング分野での活用も例外ではありません。
とはいえ「マーケティング業務のどこにAIを活用できる?」「マーケティングにAIを取り入れるとどのような効果があるのか」など、AIをどう活用すればよいかイメージできていないマーケティング担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では自社のマーケティング活動にAIを導入したいと考えている方へ、活用のメリットや導入できる分野について解説します。
今や幅広いシーンで活用されているAI。ビジネスシーンはもちろん、マーケティング分野での活用も例外ではありません。
とはいえ「マーケティング業務のどこにAIを活用できる?」「マーケティングにAIを取り入れるとどのような効果があるのか」など、AIをどう活用すればよいかイメージできていないマーケティング担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では自社のマーケティング活動にAIを導入したいと考えている方へ、活用のメリットや導入できる分野について解説します。
目次
AI(Artificial Intelligence:人工知能)は、人間のような思考プロセスに基づく情報処理技術のことです。AIにはさまざまな技術が存在しており、近年ビジネスシーンを含めあらゆる分野で導入が進んでいます。
ビジネスで活用されるAI技術の例
【画像認証】
静止画や動画に含まれている情報をAIで認識する技術
(例)商業施設にて、防犯カメラの画像より窃盗などのトラブルを検知
【自然言語処理】
AIで文章の意味を読み取る技術や、新たな文章を生成する技術
(例)医療現場にて、AIチャットボットで問合せ対応を自動化
【機械制御】
AIでロボットの制御を自動実行する技術
(例)製造業にて、工場機械の自動制御
AIの導入が進んでいるのは、マーケティング分野でも例外ではありません。ここからは、マーケティング分野におけるAI活用について解説します。
AIを効果的に用いることで、マーケティング活動におけるさまざまな課題を解決できます。本章では、AIをマーケティングに活用するメリットを3つ解説します。
インターネットの普及や情報技術の進歩により、マーケティング分野でも膨大なデータを取得できるようになりました。しかし、扱えるデータ量が多いために分析・活用に手間がかかるようになった側面もあります。
しかし、情報処理能力に長けたAIを活用すれば、既存のデータ処理だけでは得られない分析結果を取得し、市場の将来予測やマッチング提案などの精度向上が可能です。例えば、AIで過去の商品売上や季節性を考慮することで、高精度の需要予測を行って顧客満足向上に成功した事例があります。
「欲しい商品はSNSで見つける」「複数サイトや商品を見比べて検討する」「手元のスマートフォンで、欲しいと思った時に買う」など、モバイルデバイスやSNSの普及に伴い、顧客の流入経路やタッチポイントは年々増加しています。多様化する顧客行動を分析し、傾向を把握していないと、思わぬ流入経路からの顧客を取りこぼしてしまうなどの損失につながりかねません。
そこで活用できるのがAIです。AIの強みであるデータ処理を活かせば、顧客一人一人の行動をきめ細やかに分析できるため、顧客の取りこぼしを防ぐ施策立案に活用できます。実際に、ある企業ではAIにより顧客の趣向を分析し、好みの商品を顧客に提案する施策を行ったことで、来店率アップに成功している事例があります。
少子高齢化や人口減少は年々深刻化しており、多くの企業において労働力をいかに確保するかが課題になっています。IT分野も例外ではありません。実際に、経済産業省の試算によると2030年にはIT人材が79万人が不足すると予想されています。
採用や育成での労働力確保はもちろんですが、業務効率化やデータ分析などAIが強みとする分野はAIに業務を切り出せば、少ない人材でも効率的に業務を進められるようになるなど、労働力不足解決が期待できます。実際に、AIによるデータ分析を用いることで、データ分析に必要な人材を増やさずともマーケティングシーンでデータ活用を促進できた事例もあるようです。
AIは、マーケティングにおいてもさまざまな用途で活用できます。本章では、AIを活用できるマーケティング活動のうち、代表的な活用例を5つ解説します。
AIは、大量のデータを分析することやデータのパターンを発見することに強みがあります。その強みを活かし、インターネット上の情報やニュース記事など、あらゆる情報を分析・整理することで市場分析が可能です。
また、機械学習で消費者行動を予測することや、競合他社の商品やユーザーについて分析することも、AIで実現できます。実際に、小売店にてAIで店内の顧客行動を分析することで、店舗のレイアウトを改良して、展示している商品の購入率を高められた事例があります。
AIで実施した市場分析結果を活用することで、マーケティング戦略の立案が可能になります。膨大なデータを活用し、消費者の商品購入パターンやトレンドを分析することで、これまでより緻密なマーケティング戦略が可能です。
例えば、複数の自社SNSアカウントについてAIで分析することで、自社がSNS上で話題に上がりやすい投稿内容や投稿タイミングを分析している外食チェーンがあります。この分析結果をもとに、SNS上でのファン獲得を推進して、売り上げアップにつなげているのです。
昨今では、画像や文章などを自動生成できる生成AIツールが普及してきました。実際に、人物から背景まで、すべてAIで生成した広告を大手百貨店が配信したことがあるように、クリエイティブの品質も決して低くありません。そのため、生成AIを活用することで、クリエイティブ作成の負担を軽減できるようになります。
さらに、トレンドや消費者行動について追加学習を行うことで、効果検証結果を加味したクリエイティブ作成が可能なツールも出てきました。効果検証結果を活用することで、より消費者のニーズを捉えたクリエイティブ作成を期待できます。
なお、AIを用いた広告クリエイティブ作成については、「AIで広告業務を効率化|クリエイティブ生成・広告運用の事例も紹介」でも解説していますのでご覧ください。
AIはマーケティング施策の運用にも活用できます。例えば、SNSの投稿記事作成や投稿作業をAIに代替させることで、施策実行の効率化が可能です。SNSマーケティング支援会社においても、AIをSNS運用で積極的に活用することで、投稿内容の校正やテキスト作成などの作業で大幅な労力削減に成功した事例があります。
また、ECサイトで売り上げを向上させるには、在庫切れによる機会損失を防ぐことも欠かせません。そこで、AIにより売り上げを予測することで、いち早く在庫切れのタイミングを察知して機会損失を回避できます。
AIで顧客対応を向上させることも可能です。例えば、AIチャットボットでは代表的な質問を自動回答するよう設定すれば、顧客対応を効率化できます。
また、AIで電話での顧客対応状況を記録し、内容を分析することも可能です。これにより顧客対応を分析することで、改善点の抽出や品質向上につなげられます。例えばある回線サービスのテレマーケティングでは、AIで通話テキストと通話の経過時間を記録しています。これにより、通話記録の確認効率が約30倍も向上したそうです。
AIをマーケティングに活用するメリットや実際に活用されている場面をいくつか紹介しましたが、まだ自社のマーケティング活動にどう役立てるか十分にイメージできていない方もいるのではないでしょうか。
そこで本章では、マーケティング分野でのAI活用イメージの解像度を高めるため、実際にAIを活用してマーケティング活動が効率化・改善された企業事例を3つ紹介します。
通信事業者A社では、新型コロナウイルス感染症拡大に対応したマーケティング活動の実施に課題がありました。そこで、AIによる顧客分析を通じて、感染症拡大が企業活動に与えた影響を分析。
分析を行ったデータは、自社の顧客リストや報道記事などさまざまありますが、分析結果をもとに顧客のセグメント分けを行いました。結果、顧客のセグメントごとに最適なアプローチを行うことができ、さらに案件規模やNPSの年平均スコアの向上も見られるなど、大幅な改善を実現できたそうです。
動画配信サービスB社では、サービスの品質向上が課題でした。
そこで、視聴者の動画閲覧状況をAIで分析することで、視聴者のニーズを捉えたサービス提供を試みました。例えば、各視聴者へのレコメンド動画を、AIによる分析結果を踏まえて決定。オリジナルコンテンツ作成時にも分析結果を活用することで、視聴者のニーズを捉えたコンテンツ作成にも成功しています。
これらの取り組みが高く評価され、世界中の視聴者を取り込むことができ、今や視聴者が全世界で1億人以上になっているそうです。
広告運用では、月々の配信予算範囲内でなるべく狙ったキーワードで上位表示されるよう、競合の入札価格や配信予算を考慮して入札価格を決定しなければなりません。しかし小売業C社では、ウェブ広告経由での集客がなかなか増えないことが課題となっていました。
そこで、Googleのディスプレイ広告において、AIによって入札価格調整を自動的に実行するように。手動よりも細やかな入札価格調整を実現できるようになったことで広告が上位表示されることが増え、広告経由での来店者数が増加したそうです。また、AIの活用で入札価格を調整する手間が削減されるなど、広告運用の工数削減にも寄与しているそうです。
AIツールを単に導入するだけでは、マーケティング活動の改善にはつながりません。大切なことは、マーケティングにAIを導入する際のポイントを理解し、正しくAIを活用することです。
最後に、自社のマーケティング活動にAIを導入するポイントを2つ解説します。
マーケティングに活用できるAIツールは用途ごとに多数存在し、用途も多種多様です。1つのツールで複数の用途を満たせるツールもあれば、1つの用途しか満たせない代わりに安価・高精度など強力なメリットを有するツールもあります。
マーケティングAIツールの用途例
広告運用
SEO
SNS運用
アクセス解析
テキストコンテンツ生成
AIチャットボット
ウェブデザイン
マーケティングオートメーション
インフルエンサーとのマッチング
そのため、まずはAI活用の用途を明確にしてから、ツールを選定することが大切です。あわせて、機能の拡張性や他ツールとの連携、サポート体制など、実務での活用イメージを固めたうえで選定することもおすすめします。
AIをマーケティング活動に用いる事例は増加していますが、いきなりマーケティングのあらゆる業務をAIに置き換えることは、現場に混乱をもたらしかねません。
そのため、最初は「分析業務だけ」、「ブログ作成の構成書作成だけ」など一部業務だけをAIに置き換えることがおすすめです。これにより、最初は無理なくAIを導入し、徐々にAIの活用範囲を増やすことで、混乱を抑えつつ一層AIの効果を享受できます。
AIは、市場分析やデータに基づく戦略立案から、クリエイティブの作成・運用まで、マーケティングの幅広い範囲で活用できる人工知能です。
多くの企業で労働力不足が叫ばれる昨今、膨大なデータを処理・分析できるAIをいかに活用するかは至上課題でもあるといえます。とはいえ、全ての業務をAIに丸投げしてしまうのは危ういのも事実です。AIの強みと人間ならではの強み、それぞれを活かしつつマーケティング活動を進めていくのが理想でしょう。
AIは多量のデータ処理が得意です。そのため、マーケティング活動に導入することで、膨大なデータを活かした戦略立案が期待できます。また、顧客のニーズを捉えた施策の実行や労働力不足の解決も、AIに期待したい部分です。
AIを活用できる範囲は幅広いです。例えば、市場分析や戦略立案などの上流工程から、クリエイティブ作成や施策立案などの下流工程まで多岐にわたります。ただ、最終的な戦略立案などAIでは代替不可能な分野もあることには注意が必要です。