どのSNSに広告出稿する?6大SNS広告の特徴・費用・向いている商材
一口にSNSと言っても、それぞれ強みや弱み、ターゲティングできる範囲が異なります。そのため、各SNSの特徴を把握し、ターゲット層によって適切な広告方法を選ばなければなりません。本章では、6大SNSについて、SNS広告の特徴を解説します。
LINE
LINEは、国内のユーザー数が9600万ユーザー(2023年9月時点)と、多くのユーザーに親しまれているSNSプラットフォームです。
LINE広告の強み・弱み
LINE広告の強みは、ユーザー数の多さです。前述のとおりユーザーの数は9600万人(2023年9月)と、圧倒的に多い配信ボリュームを確保できます。また、ユーザー層も男女比率がほぼ同じで、幅広い年齢層に親しまれています。よって、世代や性別を問わずさまざまな人にリーチが可能です。
▼LINE広告のターゲット条件例
デメリットとして、Facebook広告やX(Twitter)広告のように投稿をシェアする機能はないので、投稿の共有・拡散機能が弱いぶん、拡散力はあまり期待できません。さらに、他のSNSメディアより審査のハードルが高く、審査に最短でも数日かかると言われています。審査に関しては公式の「広告審査の種類とタイミング」にも示されています。
LINE広告の広告形態
LINE広告の配信面は、全部で17か所あります。
▼配信面
トークリスト
LINE NEWS
LINE VOOM
ウォレット
LINEマンガ
LINEポイントクラブ
LINEチラシ
LINEクーポン
LINEマイカード
LINEショッピング
LINE広告ネットワーク
ホーム
LINE Monary
LINEオープンチャット
LINEファミリーアプリ
LINE公式アカウント
アルバム
LINE広告の費用
LINE広告の課金方法は3種類です。それぞれ相場とともに表にまとめました。
インプレッション課金は、多くのユーザーに訴求できるぶん認知拡大に向いています。ただ、サービスに興味がないユーザーに対しても広告出稿をするため、コンバージョン率アップには向いていません。
クリック課金は、広告に関心がないユーザーが理由で課金されることはないため費用対効果が高い反面、広告のコンバージョン率が低いと費用が無駄になることに注意してください。
友だち課金は、「友だちとして追加」というユーザー行動を伴う課金のため、必要対効果が高い上、継続的な訴求もできることがメリットです。ただ、友だち追加は、インプレッションやクリックよりも、さらにユーザーにとってはハードルが高い行為になります。よって、広いユーザーに認知してもらう目的には適していません。
LINE広告に向いている商材
LINE広告は、リーチできる範囲が広いことが特徴です。よって、万人に必要とされる日用品、あるいは幅広いユーザーに認知してもらいたい商材に向いています。
▼LINE広告に向いている商材の例
反対に、日常生活になじみのないBtoB向けの商材や、不動産や車など高額商品には向いていません。また、犯罪に利用されている恐れがある商品や、特定の宗教に関連する商品など、規定によりLINE広告では掲載できない商材もあります。詳細は「LINE広告審査ガイドライン」をご覧ください。
YouTube
YouTubeは、代表的な動画共有プラットフォームで、国内でも高い利用率を誇ります。よって、動画メディアで幅広い年齢層に対し広告を出稿したい場合は、YouTubeは真っ先に検討すべき選択肢と言えるでしょう。
引用:総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
YouTube広告の強み・弱み
日本国内では、YouTubeのユーザー数は2023年5月時点で7,120万人を超えました。このことから、YouTubeは数多くのユーザーにアプローチできると言えます。
また、広告動画の再生中に表示されるリンクより、広告に興味を持ったユーザーを簡単に自社サイトに誘導できることも強みです。動画形式なのでテキストのみの広告と比較し、ビジュアル面からの訴求も容易にできます。
画像引用:YouTube
さらに、YouTubeはGoogle広告と連携しているため、YouTubeだけでなくGoogleが保有している検索履歴や性別などのデータを利用し、詳細なターゲティングが可能です。
一方で、動画広告では途中でスキップするユーザーが多いことに注意してください。生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行うネオマーケティングが実施した調査結果によると、90%以上のユーザーが「途中で動画広告をスキップする」と回答しています。クリエイティブを制作する際は、臨場感やストーリー性を織り交ぜるなど、ユーザーがスキップせず興味をもてる動画広告を作成することが重要です。
YouTube広告の広告形態
YouTube広告にはさまざまな広告形態がありますが、代表的なものを5つ紹介します。
YouTube広告の費用
YouTube広告の課金方法は3種類です。それぞれ相場とともに表にまとめました。
クリック課金はターゲットに絞って配信できるものの、クリック数が想定より増えるとコストが増大することに気をつけましょう。視聴課金も興味をもつユーザーに絞って配信できるものの、動画広告クリエイティブの品質に効果が影響されます。表示課金は低コストで運用できますが、スキップできない分ネガティブな感情をもつユーザーもいるかもしれません。
YouTube広告に向いている商材
YouTube広告にはあらゆるジャンルの動画が投稿されており、利用者も幅広いため、幅広い商材で活用できます。また、期限を切って配信することもできるため、季節性、トレンド性のある商材にもおすすめです。
Instagram
Instagramは、画像や動画と一緒に投稿するSNSです。世界で10億人、日本でも3,000万人以上のユーザーがいます。
Instagram広告の強み・弱み
Instagramは、画像・動画形式の投稿に強みがあるため、ビジュアル面を全面に押し出した訴求が可能です。
また、Instagram内でのユーザー行動履歴を基にして、ユーザーをセグメント分けして詳細にターゲティング設定もできます。例えば、若い女性ファッションやモデルに関する投稿を多く検索しているユーザーに対しては、若い女性向けアパレルブランドの広告を優先的に配信できます。さらに、ユーザーには若年層が多いため、若年層へのアプローチにもおすすめです。
Instagram広告の広告形態
Instagramの広告形態は、6種類です。
Instagram広告の費用
Instagram広告の課金方法は4種類です。それぞれ相場とともに表にまとめました。
インプレッション課金は、低予算で運用でき認知拡大に向いていますが、ユーザーの反応を得られないと費用対効果が下がってしまう場合があります。クリック課金は広告に興味があるユーザーにだけ広告費をかけられますが、コンバージョン率が低いと広告費が高くなります。
スループレイでは、動画を長く見たユーザーのみカウントするため、興味があるユーザーにのみ広告費をかけられます。ただ、動画クリエイティブの品質が低いと、成果が上がりません。動画の2秒以上の継続的な再生では、動画再生とカウントするハードルが低いため認知度向上目的の広告に向いています。
Instagram広告に向いている商材
Instagramは、若年層の女性のユーザーが多いことが特徴です。よって、コスメやファッションはもちろん、「インスタ映え」する美味しそうな食べ物の広告にも向いています。また、美しい景色がインスタ映えする観光地など、旅行関連の広告に使うこともおすすめです。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、短文投稿がメインで匿名性が高いSNSです。商品の口コミなど生の声が得やすく、フォローしている人の広告と一緒に自然な形で流せます。
X広告の強み・弱み
Xも比較的若年層のユーザーが多いSNSで、リポスト機能もあるため拡散力があることが強みです。また、画像や動画を使用することもできるため、ビジュアル面から訴求したい場合にも向いています。
画像引用:Xビジネス
X広告の広告形態
X広告の広告形態はさまざまあり、以下の通りです。
X広告の費用
X広告の課金方法は5種類です。それぞれ相場とともに表にまとめました。
インプレッション課金は、安価に始められて認知拡大に向いています。ただ、サイトへの誘導や動画再生がなくとも広告表示されるだけで課金されるため、広告の成果がわかりづらい点に注意が必要です。エンゲージメント課金では、エンゲージメントを得た場合に課金されるため、ユーザーとのコミュニケーションを深めたい場合に向いています。ただ、コンバージョンが狙いにくいことはデメリットです。
X広告に向いている商材
Xは、最新の情報を追いやすいSNSであるため、流行りの商材に向いています。また、いわゆる「オタク」なユーザーが多い傾向があるため、ゲームアプリやマンガ、グッズなどの商材とも親和性が高いでしょう。
Facebook
Facebookは世界で最もユーザーが多いSNSです。Metaが発表した「2023年第4四半期(10~12月)業績ハイライト」によると、2023年12月時点でのデイリーアクティブ利用者数は21億1,000万人、月間アクティブ利用者数は30億7,000万人にのぼります。
Facebook広告の特徴は、フォロワーのタイムラインと、広告を一緒に自然な形で流せることです。
画像引用:Meta「Meta広告マネージャの目的のアップデート」
Facebook広告の強み・弱み
Facebookを利用する際には、ユーザーの実名や年齢・居住地など、細かいプロフィールを登録する必要があります。よって、プロフィール情報より、精緻なターゲティングが可能です。
また、アクティブユーザーには30~60代のユーザーが多いため、そのような中高年齢層にアプローチしたい場合には、特に強みを発揮します。
Facebook広告の広告形態
Facebook広告の広告形態は、大きく分けて4種類です。
Facebook広告の費用
Facebook広告の課金形態は、「インプレッション課金」 「クリック課金」 「動画再生での課金」 「スループレイでの課金」があります。
ここでは、主となる2つの課金形態を紹介します。
インプレッション課金は、表示回数を増やして認知拡大を得る場合に向いています。ただ、コンバージョンがなくとも費用が発生するため、無駄なコストが発生することです。一方クリック課金は、クリックが発生しないと費用が生じないため、費用対効果を高めやすいことがメリットです。ただ、入札単価が低いと配信されないリスクには注意しなければなりません。
Facebook広告に向いている商材
Facebookは他のSNSよりも実名性があることが特徴なので、信頼性が求められるサービスと相性がよくおすすめです。具体的には、歯医者などの病院や学習塾、習い事のスクールなどは、Facebook広告の活用が向いているでしょう。
TikTok
TikTokはショート動画に特化した動画配信アプリです。動画に特化しているだけに、視覚に訴える広告を作成できます。
画像引用:TikTok for Business「ニトリが新生活者向けTikTok施策 若年層の来店が前後比2倍に」
TikTok広告の強み・弱み
TikTokは若年層が多く利用しているため、広告に慣れていてそれに不快感を抱くユーザーが少ないことが特徴です。TikTok広告の公式サイトによると、コンテンツを集中して視聴するユーザーは、46%に達します。
TikTok広告の広告形態
TikTok広告は「予約型広告」 「運用型広告」の2種に大別され、それぞれ複数の種類があります。
【予約型広告】
起動画面広告:ユーザーがTikTokを起動した際に必ずファーストビューで表示される縦型フル画面の広告
インフィード広告:TikTokアプリ内のおすすめ欄に表示される動画広告
ハッシュタグチャレンジ:企業が設定したオリジナルのハッシュタグを使用した、TikTokならではのユーザー参加型の広告
ブランドエフェクト広告:TikTokのデジタルコミュニケーション機能の1つ。ARや2D・3Dなどのテクノロジーを用いて、ブランド機能や世界観をユーザーが体感できる
【運用型広告】
TikTok広告の費用
TikTok広告の課金方法はいくつかありますが、以下の4種類が代表的な課金方法です。それぞれ相場とともに表にまとめました。
インプレッション課金は、広告の露出を増やして認知拡大につなげられます。反面、広告を表示させるだけで費用が発生するため、広告効果がわかりづらいことに注意が必要です。クリック課金は、「クリックした行為」がないと課金されないため、費用対効果のアップが期待できます。反面、想定していないユーザーからのクリックが増えると、コンバージョンにつながらず余計な出費が発生します。
再生課金は、一定時間動画を再生しないと課金されないので、広告に興味のあるユーザーに絞って訴求しやすいことがメリットです。反面、テキストや画像よりも編集に作成時間がかかることはデメリットです。期間契約型広告は、一定期間必ず出稿できるため、より確実に効果を期待できます。ただし、他の課金形式より高額であることに注意してください。
TikTok広告に向いている商材
TikTokは若年層が多いため、若年層向けのファッションや雑貨などがおすすめの商材です。また、もともと若者のダンス動画などが多く投稿されていたため、音楽や漫画などのエンタメ商材とも相性がよくおすすめできます。他には、見栄えが良くバズりそう、あるいは映えそうなスイーツなどの飲食系にも、TikTok広告が向いています。
SNS広告運用で失敗しないために必要なこと
ここまでさまざまなSNS広告を紹介してきましたが、どのSNS広告を運用する場合でも、正しく運用するためのポイントを理解せずに取り組むと、高い確率で失敗します。コストをかけて出稿したにもかかわらず、効果が上がらず損しては意味がありません。
そのような事態を防ぐため、SNS広告の運用に失敗しないためのポイントを、本章では4つ解説します。どのSNS広告にも共通する内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
ターゲット像を明確にする
SNS広告で失敗しないためには、明確なターゲット設定が必須です。配信したい商材の特徴や顧客の特徴から、SNS広告でアプローチしたい層を定めましょう。顧客層を考えて的確なターゲティングを行うため、特に重要なポイントは以下の2つです。
年齢や性別、在住地域などのユーザー属性を把握する
ユーザー属性情報は、ターゲティングに欠かせません。反対に、ターゲティングが間違っていると狙いたい層にSNS広告を見つけてもらえず、効果は期待できないでしょう。
▼代表的なユーザー属性
ターゲティングの一例として、都内の複合スポーツ施設がSNS広告を出稿するケースを考えてみましょう。現状は親子連れが多いものの、施設側は学生の利用者を増やしたいと考えているとします。そこで、具体的なターゲットはこのように考えました。
▼複合スポーツ施設の代表的なターゲット属性(例)
性別:男性
職業:文系大学生
自動車免許:あり
趣味:アウトドア
住居:埼玉県
経済状況:裕福
顧客が抱えている悩みや求めているものを推測する
ターゲットである顧客の属性を決定したら、次に顧客の悩みやニーズを推測していきます。例えば上記大学生の例であれば、アウトドアが趣味の男子大学生はどのような悩みやニーズがあるか、考える必要があります。ターゲット層へのアンケートやSNS投稿のリサーチなどを踏まえ、求められるサービスの条件をこのように整理してみました。
低予算でも長い時間外で遊べる
アウトドアを満喫できる
友達と気軽に遊びに行ける
平日の学割が使える
具体的な目標を決める
SNS広告で大切なことは、ターゲット像と予算を考慮して、最適な目標を決めることです。
▼SNS広告を出稿する目標の一例
自社の認知度を上げる
ウェブサイトでの購入を増やす
ウェブサイトへのアクセスを増やす
採用応募人数を増やす
先ほどの節で解説した男子大学生の例であれば、認知を増やすことや、施設入場者数を増やすことを、定量的に示すとよいでしょう。
目標を具体的な数値として設定すると、目標の達成度合いを示しやすくなるため、順調に成果が出ているか、あるいはうまくいっていないかが明確になります。目標と比べて成果があまり出ていない部分が、優先的に改善すべきポイントの可能性が高いと考えられます。この点からも、目標は定量的に示すことがおすすめです。
PDCAを回し続ける
SNS広告は、あくまでも成果につなげるための手段にすぎません。公開するだけで終わりにせず、配信後に得られている効果も検証することが必要です。そして、検証の結果得られたデータを元に、PDCAサイクルを回して改善を繰り返すことで、SNS広告に成功する確率は高まっていくでしょう。
炎上しないよう細心の注意を払う
SNS広告で注意しなければならないことの1つは、炎上で自社のイメージダウンが発生しうることです。ユーザーとの距離が近いぶん、炎上のリスクには十分注意しなければなりません。
例えば、ファッションブランドが海外でイベントを計画していたものの、そのSNS広告の内容が開催国の文化を侮辱している内容であったため、現地で炎上し、結果的にイベント中止にまで追い込まれた事例もあります。
また、広告にユーザーが返信できる場合は、ネガティブな内容の投稿がされることや、「荒らし」が発生するリスクも否定できません。炎上を防ぐため、SNS広告への掲載内容には細心の注意を払いましょう。広告に掲載する情報の誤りはもちろん、人を傷つけるような表現も正さなければなりません。