SEOにおけるキーワードとは
SEOにおけるキーワードとは、GoogleやYahoo!などの検索画面でユーザーが入力する言葉を指します。
ユーザーは自分の悩みや疑問、不安を解消するために特定のキーワードで検索します。例えば「新宿 居酒屋 安い」で検索しているユーザーは、「新宿で手頃な居酒屋はないだろうか?」という疑問を持って検索していると推測できます。
SEO(検索エンジン最適化)対策では、自社のターゲットとなるユーザーがどのような悩みや疑問を抱いているか?どのようなキーワードで検索するだろうか?と考え、ニーズを満たしたコンテンツを用意することが鍵となります。
キーワードは、検索ボリュームによって大きく以下の3つに分けられます。
▼ビッグキーワード
ユーザーの検索ボリューム数が数万単位であるキーワードのこと。検索ボリュームが大きいため、検索上位表示できれば多くの流入が期待できる。ただし、競合が多いぶん、検索上位を獲得する難易度は高い。
▼ミドルキーワード
ユーザーの検索ボリューム数が数千単位であるキーワードのこと。ビッグキーワードと比べると検索ボリュームは少ないが、それだけ競合も少なくなる、検索上位表示のハードルは下がる。
▼ロングテールキーワード
ユーザーの検索ボリューム数が数十〜数百単位であるキーワードのこと。「新宿 居酒屋 安い」というように、複数のキーワードを組み合わせることが多い。ミドルキーワードより、さらに検索ボリュームも競合も少ないため、検索上位表示を狙いやすい。
SEO対策において「キーワード選定」が重要な理由
SEO対策に取り組む際に重要なのが、自社で対策するキーワードを事前に決める「キーワード選定」です。キーワード選定が重要と言われる理由は、以下の2つです。
上位に表示させることで、より多くのユーザーを獲得できるため
上位に表示させることで、より多くのユーザーを獲得できるため
サイトへの流入を増やし多くのユーザーを獲得するには、検索結果で上位表示させることが必須です。
記事のクリック率は、検索結果の表示順位によって大きく変動します。2021年にseoClarityが発表したデータによると、日本における「検索順位別のCTR」は以下のようになりました。
2位(7.52%)表示になった途端、クリック率は1位(13.94%)の約半分になります。3位(4.68%)以下になると、さらにクリック数が減ります。上記を踏まえると、記事をクリックしてもらい自社サイトへの流入を増やすには、検索上位表示が必須です。
記事を検索上位表示させるには、キーワードから読み取れるニーズを解消できるようなコンテンツを作成し、記事内に自然な形でキーワードを挿入することが必要です。
キーワードを適切に散りばめつつ、ユーザーを第一に考えたコンテンツを作成することで、検索エンジンから評価されて検索上位表示の確率が高まります。
この「ユーザーファーストな記事作成が大切」というポイントは、Googleの公式サイトでも言及されています。
ユーザーニーズごとに的確な訴求をするため
似ているキーワードでも、ユーザーの検索ニーズは変わってきます。SEO対策では、この微妙なニュアンスの違いを読み取り、ユーザーの課題感に合わせて的確に訴求することが大切です。
例えば以下の2つは、キーワードの組み合わせは似ていますが、ユーザーのニーズは異なります。
「ニキビ スキンケア」 :すでにニキビがあるため、原因を知って対処したい
「ニキビ スキンケア 予防」 :ニキビができる前に、予防策としてスキンケアをしたい
SEOではたった一語キーワードが加わるだけで、ユーザーニーズは大きく変わります。「すでにニキビができている人」と「ニキビを予防したい人」へ紹介するスキンケア用品や対処方法などは異なるため、別角度からのコンテンツ作成が必須です。
もし思い付きや検索ボリュームのみでキーワードを選ぶと、肝心なニーズを把握できず、対策すべきキーワードを取りこぼしたり、需要にマッチしないコンテンツを作ってしまったりする可能性があります。
SEOで成果を出したい!キーワード選定前にすべきこと
SEO対策で成果を得たいならば、キーワード選定前に以下の準備を終えておくことが必要です。
1.コンテンツ制作の目的を明確にする
まずは、どのような成果を得るためにコンテンツを作成するのか目的を決めます。そうすることで、ゴールから逆算してターゲットを洗い出し「このターゲットはどんなニーズを持って検索するのか?」という観点でキーワードを考えられます。
▼コンテンツ制作の目的(例)
自社のネットショップで売上を伸ばしたい
自社サイトのアクセスを増やしたい
自社サービスの業界での認知度を高めたい
リードナーチャリングを行い見込み顧客を集めたい
サイト経由で自社店舗への来客数を増やしたい
採用活動で優秀な人物に自社を見つけてほしい
例えば「自社のネットショップで販売している洋服の売上を伸ばしたい」という目的の場合、以下のような情報の提供がアイデアとして挙げられます。
好みに合わせた着こなし術
季節に合わせたコーディネート情報
自分の骨格に合わせた洋服の選び方
まずは自社の目的に合わせて必要なコンテンツを明確にし、具体的にどのようなキーワードで記事を書けばよいのかを考えていきます。
2.自社サービス・商材の強みを明確にする
前提として、SEO対策では「価値ある情報をユーザーに届ける」という考え方が基本です。どれだけ適切なキーワードで対策しても、自社サービス・商材に強みや魅力がないと、検索エンジンからの評価は得られず、コンテンツで上位表示を狙うことが難しくなります。
また、強みや魅力が明確でないと、ユーザーの途中離脱を招きかねません。仮に検索上位に表示されたとしても、サービス・商材の良さが伝わらず、コンバージョン獲得まで至らない可能性があります。
キーワード選定を始める前に、まずは自社サービス・商材の強みや魅力を明確にしておくことも大切です。
3.誰に届けるのかを明確にする
漠然とキーワードを選定し情報を羅列しただけでは「ユーザーファーストな記事」とはいえません。例えば、競合コンテンツの内容を適当にまとめたり、対策キーワードを不自然に何度も繰り返したりするだけでは、ユーザーニーズは解消されず、検索エンジンからも評価されにくいでしょう。
ユーザーニーズをダイレクトに解消できる記事を作成するには、「アプローチしたいペルソナ像の明確化」がポイントです。ペルソナとは、ひとりのユーザーを具体的にイメージした姿のことです。たとえば以下のように、特定の個人が思い浮かぶレベルまでユーザー像を掘り下げていきます。
▼ペルソナ例
性別
年齢
居住地域
職業
社内でのポジション
年収
家族構成
休日の過ごし方
趣味
価値観 など
ペルソナを鮮明に設定することで、ユーザーニーズを洗い出せるだけでなく「アプローチしたいユーザーが使わないキーワードを選定してしまう」ことも避けられます。
例えば、ペルソナが「製造業の現場で働く人」であれば、専門用語の「緩衝材」で検索することもあり得ます。しかし、一般的には「プチプチ」と呼ばれるため、ペルソナが製造業に関係ある人と限らない場合、専門用語をキーワードとして選ぶことは避けたほうがよいでしょう。
【実践】キーワードの選定方法
では、実際にどのようにキーワードを選定していけばよいのか、本章ではキーワードの選定方法について4つのステップで解説します。
メインとなるキーワードを選ぶ
メインキーワードを軸にサブキーワードを洗い出す
洗い出したキーワードのボリュームを確かめる
キーワードの優先順位をつける
1.メインとなるキーワードを選ぶ
まずは、自社サービスとマッチしたメインキーワードを決めます。
メインキーワードは、検索ボリュームが大きく、上位表示できた際に大きな成果をもたらすキーワードを選びましょう。2~3語を組み合わせたキーワードではなく、単一キーワードを選ぶと、検索ボリュームも大きくなり、後ほど登場するサブキーワードも選びやすくなります。
SEO対策では、メインキーワードを軸に関連キーワードを洗い出し、複数の記事を制作することが重要です。これは「トピッククラスター」と呼ばれる戦略であり、メインキーワードの対策記事(ピラーコンテンツ)内に、サブキーワードの対策記事(クラスターコンテンツ)を張り巡らせることで、サイト全体の回遊性を高めるなど評価アップを狙えます。
2.メインキーワードを軸にサブキーワードを洗い出す
先ほどメインキーワードをもとに、候補となるサブキーワードを洗い出します。この段階では一旦質を気にせず、大量にブレストすることを重視してください。サブキーワードは、基本的に「メインキーワード+◯◯」という形でブレストします。
抜け漏れなくサブキーワードを洗い出すには、以下のような方法が効果的です。
▼サブキーワードの洗い出し例
検索結果に表示されるサジェストから見つける
マインドマップでキーワードツリーを作成し、見つける
スプレッドシートでカテゴライズしながら、ブレストする
自社を知った顧客に「どのようなキーワードで検索したか?」をヒアリングする
競合他社が上位表示しているキーワードを調べる
Google アナリティクス 4やGoogleサーチコンソールで、過去にコンバージョンを得たキーワードを調べる
ただし、手作業では時間がかかるだけでなく、抜け漏れが発生するおそれもあります。そこで、ラッコキーワードなどのキーワード分析ツールの活用もおすすめです。キーワード選定に役立つツールは後ほど紹介します。
3.洗い出したキーワードのボリュームを確かめる
次に、洗い出したキーワードのボリュームをチェックします。
キーワードボリュームが大きいほど検索需要も高いため、上位表示できた際のインパクトは絶大です。しかし競合も多いため、いきなり単体で上位表示を狙うのは困難でしょう。先ほどのトピッククラスターの考え方を用いて、サイト全体の評価を高め、最終的に検索上位を取りに行く戦略が必要です。
キーワードボリュームは、GoogleキーワードプランナーやUbersuggestなどで調査できます。
検索ボリュームが大きいほど上位表示の難易度は高く、ユーザーのニーズも明確ではない傾向にあるため、サイトへの流入が増えてもコンバージョンに辿り着く前にユーザーが離脱してしまう可能性があります。
一方で検索ボリュームが小さいキーワードは、流入数も少ないものの上位表示しやすい傾向があります。ユーザーの検索ニーズとコンテンツの内容がマッチしていれば、よりコンバージョンにつながりやすくなります。
4.キーワードの優先順位をつける
洗い出したキーワードを全て一度に対策することは難しいです。そのため、費用対効果が高いキーワードから対策を進められるよう、洗い出したキーワードに優先順位をつけます。優先順位は、以下のように幅広い観点から検討することが重要です。
検索ボリュームの大きさは?
競合の多さは?
自社サービスとの関連度合いは?
自社の強みを活かしたコンテンツを提供できるか?
コンバージョンにつながりやすいか?
時期的な要因はあるか?
例えば「ボリュームは少ないが自社サービスとニーズが合致するキーワード」を優先することで検索上位表示を狙い、着実にコンバージョンへつなげるという戦略があります。一方で、自社の目的が純粋に「サイトのアクセスを増やしたい」である場合、検索ボリュームの大きいキーワードの優先度が高くなります。
自社の目的や強みなどを考慮しながら、狙うキーワードの優先順位を決めましょう。
キーワード選定で役立つツール
先述の通り、膨大なキーワードを手作業で洗い出すのは、時間がかかるだけでなく、抜け漏れが発生する懸念もあるためおすすめしません。そこでおすすめなのが、キーワード分析ツールの活用です。例として以下3つのツールを紹介します。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、日本で人気のSEOツールです。
サジェストキーワードや競合サイト内の共起語だけでなく、指定URLが集客しているキーワードを把握できる「獲得キーワード調査」や、検索上位表示された際の見込みアクセス数を調査できる「月間検索数取得」など、幅広い機能を活用してキーワード選定に役立てられます。
競合サイトの上位20記事の見出しも抽出できるため、具体的に本文中で使うキーワードを考える際にも役立ちます。
以下に当てはまる方はラッコキーワードの活用がおすすめです。
より具体的なユーザーニーズを洗い出したい
競合との差別化要素を見つけたい
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Google広告(Googleの広告配信サービス)の一部として提供されているサービスです。Googleが提供するツールのため信頼性が高く、Google アナリティクス 4と合わせて活用している方も多いのではないでしょうか。
Googleキーワードプランナーでは、検索ボリュームだけでなく推奨入札単価も提示されるため、広告出稿時の想定予算も算出できます。例えば、「ラッコキーワードで洗い出したサジェストキーワードをコピーし、Googleキーワードプランナーに貼り付けて、一括で検索ボリュームを出す」というように、組み合わせた利用も可能です。
以下に当てはまる方はGoogleキーワードプランナーの活用がおすすめです。
キーワードのボリュームやアクセス数見込みを知りたい
特定のキーワードでの広告出稿を検討している
ahrefs
ahrefsは、世界的に有名なSEO分析ツールです。自社および競合サイトの想定流入キーワードや上位表示コンテンツ、被リンク(バックリンク)、SNS上の反応などを分析できます。
キーワードの難易度や関連キーワードも抽出可能であり、各データは視覚的にもわかりやすくまとまっているため、スムーズな分析に役立てることができます。さらに、世界中のデータを保有しているため、グローバル単位でキーワードを選定することも可能です。ただし、無料での利用はできません。
以下に当てはまる方はahrefsの活用がおすすめです。
長期スパンでの順位やボリュームを知りたい
日本以外でのニーズも知りたい
キーワードを幅広い角度から分析したい
競合サイトの情報も詳細に分析したい
キーワード選定時のポイント
使うツールを揃えたところで、キーワード選定を行う際は以下のポイントを押さえましょう。
検索ボリュームの大きすぎるキーワードはニーズを慎重に検討する
自社が参入できる可能性が高いキーワードを選ぶ
一般的な知名度が高く訪問者が使うであろう単語を選ぶ
検索ボリュームの大きすぎるキーワードはニーズを慎重に検討する
検索ボリュームが大きいキーワードの検索上位表示が難しい理由として、ニーズの把握の難しさが挙げられます。
例えば「バッグ」というキーワードを検索するユーザーの背景にあるニーズは、以下のようにさまざまなパターンが想定されます。
バッグを買いたい
バッグを修理したい
プレゼント用におすすめなバッグを知りたい
中古のバッグを売りたい
ニーズが広すぎるキーワードは、さまざまな目的を持ったユーザーが検索するので、競争率も高くなりがちです。さらにニーズを掴みきれないため、ユーザーの要望にダイレクトに応えるコンテンツの制作も困難でしょう。確かに上位表示できれば流入数は一気に増えますが、その分難易度が高いため、もし狙う場合は意図を慎重に検討したうえでの緻密な戦略が必須です。
一方で「バッグ ハンドメイド 安い」のように、3つ以上の単語を組み合わせたロングテールキーワードは、検索ボリュームは小さいものの競争率も高くありません。また、ニッチで具体的な解決策を求めているユーザーが検索するため、コンバージョンにつなげやすいでしょう。
自社が参入できる可能性が高いキーワードを選ぶ
自社が参入した際に、上位表示できる可能性が高いキーワードを選ぶこともポイントです。例えば「タンパク質」で検索した場合、以下のような検索結果が出ます。
上位記事は、厚生労働省や公益財団法人、大手企業など、信頼性・権威性が高い団体が中心に挙がっています。ここまで信頼性が高い団体がひしめくキーワードで検索上位表示を狙うのは、かなり難しいと考えられます。
一方で検索上位にあるコンテンツでも、情報量が薄かったり信憑性に欠けたりしている低品質なものが表示されているキーワードなら、高品質かつユーザーファーストなコンテンツを作成すれば1位獲得も狙いやすいです。
競合の状況もチェックして、自社が参入する余地のあるキーワードを選ぶことが大切です。
一般的な知名度が高く訪問者が使うであろう単語を選ぶ
キーワードは一般的な単語を選ぶようにしてください。
というのも、知名度の低い商品名や造語、専門用語など、検索需要が低いキーワードは、そもそも表示される回数も少なく、集客にもつながりづらいため、一般的に浸透している単語やユーザーのニーズに合った単語を選ぶことが大切です。
また、表記揺れのチェックも大切です。検索エンジンの精度は日々向上しているため、例えば「ごみ箱」と検索しても「ゴミ箱」で書かれたコンテンツも表示されます。とはいえ、キーワードが完全一致しているとヒットする確率が上がるため、表記揺れしそうな単語は両方の検索ボリュームを調べ、需要の多いほうを選定することをおすすめします。
【実践】キーワードの入れ方
選定したキーワードは、やみくもに記事へ入れればよいわけではありません。不自然にキーワードを詰め込むと、検索エンジンからの評価を下げる要因になります。記事にキーワードを入れる際は、以下の箇所に入れましょう。
大見出し(h1タグ)
タイトル
見出し
本文
ディスクリプション
画像のAltタグ
アンカーテキスト
大見出し(h1タグ)
h1タグは、ページ内の大見出し部分に表示されます。検索プラットフォームがコンテンツの内容を判断する際にも関わるため、重要な箇所の一つとも言えます。
タイトル
タイトルは検索結果画面に表示されます。ユーザーはタイトルを見てクリックするか決めるため、キーワードを含めつつ「このコンテンツを見れば自分の課題感が解消できるだろう」とユーザーが思える文章を構成することが重要です。
また、キーワードをタイトルに設定する際は、語順にも留意しましょう。繰り返しになりますが、例えば「旅行 夏休み」と「夏休み 旅行」とでは、検索意図もボリュームも異なります。ターゲットとするユーザーにマッチした語順で設定することが大切です。
見出し
見出しは、ページ内で章が変わったり内容を見やすくまとめたりする際に表示されます。ユーザーは見出しの文言で自分にとって必要な箇所を判断するため、キーワードを入れつつパッと見て内容を判別できる状態が望ましいです。
本文
本文は記事のメインと呼べる部分です。具体的にユーザーへ提供する情報をまとめていきます。入れるキーワードの個数にこだわる必要はありませんが、入れすぎて逆に不自然な文章とならないよう、あくまで自然な流れで含めましょう。
ディスクリプション
ディスクリプションは、検索結果画面でタイトルの下に表示される文章のことです。検索結果画面で記事の魅力を簡潔に伝えられれば、コンテンツに訪れるユーザーが増え、サイトの評価も上がるでしょう。
画像のAltタグ
Altタグは、記事内の画像に個別で設定するものです。Altタグに画像の適切な説明を入れることで、検索エンジンが画像の内容を判別できるため、記事のクオリティをチェックする際の1つの要因にもなります。
アンカーテキスト
アンカーテキストは、内部リンクを飛ばす文言の部分です。アンカーテキストに内部リンク先のキーワードを含めることで、サイトの評価を多少上げることが期待できます。