Facebook広告を始めたい!おさえておきたい5つの基本
Facebookは、世界中で多くのユーザーに利用されているSNSの1つです。2023年12月にガイアックス社が公表した資料によると、月間アクティブユーザーは日本で2,600万人、世界全体で30億5000万人にのぼります。
利用者が多いプラットフォームにて広告を配信すれば、それだけ多くのユーザーへ訴求することができるでしょう。そういった観点からも、SNSでの広告配信を行いたい方にとってFacebook広告の配信はおすすめです。
本章では、Facebook広告を始める前に知っておきたい、基本となる5つの特徴を解説します。
1.Facebook広告の構成
Facebook広告は、「キャンペーン」「広告セット」「広告」の3階層で構成されています。
Facebook広告を作成する際は、まず広告の配信目的である「キャンペーン」から設定します。目的が異なる場合はキャンペーンを分ける必要があります。「会員登録してもらう」「資料をダウンロードしてもらう」など、目的が複数ある場合はその数のキャンペーンを作成します。
目的が決まったら、次は「広告セット」を設定します。広告セットは、1つのキャンペーンに複数設定することができるので、具体的な予算や配信スケジュール、ターゲットを決めていきます。
最後に、画像や動画、テキストなど、クリエイティブ項目を「広告」で設定します。1つの広告セットに対し複数の広告を作成できます。
2.Facebook広告が配信される場所
Meta社は、複数のサービスを展開しています。そのため、作成した広告はFacebook上だけでなく、Meta社運営のさまざまなプラットフォーム上で配信することができます。複数の媒体で広告を配信することで、より多くのユーザーにアプローチすることができるため、リソースに余裕があるときは検討してみるとよいかもしれません。
広告配信できる媒体と配信面については、以下の通りです。
なお、プラットフォームごとにメインユーザーの特徴が異なります。例えば、Facebookでは30〜60代のユーザーが多く、Instagramでは10〜20代のユーザーが多くなっています。メインユーザーや配信したい広告の種類を踏まえて使い分ければ、より多くの効果が得られるでしょう。
とはいえ、配信先を増やすと言っても、どの媒体が適切なのかなど戸惑う方もいるかもしれません。迷った場合は「自動配置」機能を使うと、広告セット単位で配置を自動調整することができるため、初めての方でも安心です。
3.Facebook広告のフォーマットは多様
Facebook広告は、フォーマットの種類が多様で、テキストのみのものから、画像・動画を入れられるものまであります。
大きく分けると、フォーマットの種類は、写真広告・動画広告・カルーセル広告・コレクション広告の4つです。各フォーマットについては、「Meta広告マネージャの目的のアップデート」も参考にしてください。
4.Facebook広告の最大の特徴「精緻なターゲティング」
Facebookのユーザーは年齢や実名、居住地など、細やかかつ正確なプロフィールを登録しています。そのため、他のSNS広告以上に細かなターゲティングが可能です。
ターゲティング方法には、3つの方法があります。
【コアオーディエンス】
ユーザープロフィールやアプリ内での行動で、オーディエンスを作成します。
ピンポイントなターゲティングをしやすいが、ターゲティングに用いる要素を増やしすぎると、ターゲット設定に手間がかかります。
【カスタムオーディエンス】
アクセスログや顧客リストより、オーディエンスを作成します。
既存顧客や自社を認知済みのユーザーにアクセスしやすいため、費用対効果を高めやすい反面、トラフィックや顧客リスト自体が少ないと、リーチできるユーザーが限られます。
【類似オーディエンス】
カスタムオーディエンスと類似の属性をもたせるよう、オーディエンスを作成します。
費用対効果を高めつつ、新規顧客獲得にもつなげやすいが、ソースとなるオーディエンスが一定以上いないと、精度を高めづらい側面もあります。
5.課金の仕組み
Facebook広告は、出稿費用の上限を自分で設定できます。
費用の相場観は業界や競合によって変わるため一概には言えませんが、1クリックあたり100~300円程度を目安と考えるとよいでしょう。
オークション形式が採用されている
Facebook広告では、広告が表示される全ての機会でオークションが開催されています。
入札価格、推定アクション率、広告品質の3つを総合的に判断し、「全体的な価値」が最も高い広告が表示される仕組みです。
2つの料金体系
Facebook広告では、2つの料金体系を採用しています。
配信目的ごとに適した課金方法が異なります。基本的にはFacebook広告ではインプレッション課金が推奨されていますが、一部のキャンペーンではクリック課金を選択可能です。
【インプレッション課金(CPM:Cost per Mille)】
インプレッション課金は、広告がユーザーに1000回表示されたときに課金される方式です。トラフィックやコンバージョンが目的の場合に使われます。
クリックやいいねの数は、インプレッション課金では考慮されません。平均インプレッション単価は、100円~500円とされています。
【クリック課金(CPC:Cost Per Click)】
クリック課金は、広告がクリックされたときに課金される方式です。リーチやリード獲得など、さまざまな場面で活用できます。
ユーザーにクリックされなければ、どれだけ広告が表示されても課金されません。平均クリック単価は、100円~200円とされています。
Facebook広告を始める前の準備
Facebook広告は、出稿する前にいくつかの準備をしておくことで、よりスムーズに配信を始めることができます。具体的な作業と戦略について、2つずつ解説します。
【作業】ビジネスマネージャのアカウントを設定
まずは、ビジネスマネージャのアカウントを設定します。
Metaビジネスマネージャは、Metaビジネスアカウントのアクセス許可を管理できるツールで、FacebookやInstagramのセキュリティ保護に有効です。広告マネージャーと連携させて、広告配信のセキュリティ強化やプライバシー保護に役立ちます。
注意点としては、ビジネスマネージャーでビジネスアカウントを作成するには、個人用Facebookプロフィールが必要なことです。また、ビジネスマネージャで作成可能なビジネスアカウントは、利用者1人につき2つまでであることにも留意してください。
【アカウント設定の手順】
business.facebook.com/overviewに移動
[アカウントを作成]をクリック
ビジネス名・名前・仕事用メールアドレスを入力し、[次へ]をクリック
ビジネスの詳細を入力し、[送信]をクリック
各手順の詳細は、こちらからも確認できます。
【作業】Facebookページの作成
アカウント作成とあわせて、Facebookページの作成も必要です。
【ページ作成の手順】
facebook.com/pages/createに移動
[ページ名]と[カテゴリ]を入力(ページの自己紹介も作成可能)
[ページを作成]をクリック
ページのカスタマイズ(自己紹介、プロフィール写真・カバー写真の追加)
[完了]のクリック
各手順の詳細は、こちらからも確認できます。
【戦略】出稿する広告クリエイティブの作成
Facebook広告では、アスペクト比を選択できます。広告の配置方法ごとに、公式が推奨しているアスペクト比があるので、基本的にはそれに従いましょう。
例えば、フィード配置の画像は1:1の正方形が、リールでは9:16の長方形がそれぞれ推奨されています。
また、広告規定に抵触しないよう、広告内容にも注意してください。例えば、管轄地域の法律に違反する広告や、個人情報を違法に抜き取る目的の広告は配信できません。
【戦略】広告配信の目的設定
広告配信の目的によって、最適な入札方法やクリエイティブも変わってきます。例えば、商品購入を増やしたい場合、コンバージョンを目的とすべきです。また、より多くのユーザーに広告を見せたい場合は、リーチを目的にすべきです。
Facebook広告の設定画面で目的設定が行えるので、どのような成果を得るために広告効果を行うのかをあらかじめ社内で整理しておきましょう。
【実践】Facebook広告を出稿しよう
Facebook広告の準備が終わったら、いよいよ広告出稿です。具体的に3ステップで解説します。
1.キャンペーンを設定する
まずはFacebok広告のキャンペーンを選択します。購入タイプと目的を決めます。
購入タイプ
購入タイプには、「予約」と「オークション」があります。予約であれば、事前のキャンペーン計画に基づき配信が可能ですが、配信できるプラットフォームはFacebookとInstagramに限られます。
オークションでは、FacebookとInstagramに加え、MessengerやAudience Networkにも配信できますが、オークションであるぶん広告効果の結果が予測しにくいデメリットもあります。
どちらを選択すべきか困った際は、「ブランドキャンペーンに適切な購入タイプを選択する」も参考にしてみてください。
目的
ビジネスゴールを踏まえて、Facebook広告を配信する目的を設定します。
【目的とビジネスゴール】
エンゲージメント:今後メッセージ送付など、ビジネスで望まれるアクションを起こしてくれるユーザーを獲得する
アプリの宣伝:アプリのインストールやアプリ内の行動を促進する
売上:商品・サービスを購入してくれる可能性が高いユーザーを見つける
より詳しく知りたい方は、「Meta広告マネージャで適切な広告の目的を選択するには」をご覧ください。
2.広告セットを設定する
次に、広告セットを設定します。設定項目は、ターゲティング・掲載場所・掲載期間・予算の4つです。
ターゲティング
Facebook広告は多くのユーザーに閲覧される分、効果を高めるには広告に興味をもってくれる可能性が高いユーザーを絞り込むことがポイントです。そのため、ターゲティングで広告配信するターゲットユーザーを設定します。
【ターゲティングで設定できる項目の例】
地域(都道府県や国など)
年齢(13才~65才以上の範囲で設定)
性別(男女)
言語(日本語や英語など)
つながり(「いいね!」した人やイベントに回答した人など)
掲載場所
Facebookの掲載場所を設定します。最も閲覧されやすい場所であるニュースフィードや、ユーザーの印象に残りやすい右側広告枠などが選択可能です。広告の配信目的に応じて、最適な掲載場所を選択します。
掲載期間
Facebook広告の配信期間を設定します。最短1時間から設定可能です。
詳しくは、「広告セットの掲載期間を設定する」をご覧ください。
予算
Facebook広告で予算を設定する際には、以下のいずれかを設定します。いずれも予算オーバーの場合広告配信がストップするため「気づかぬうちに予算が膨らんでいた」ということにはなりません。
【アカウント上限予算】
アカウントごとに予算を設定するため、Metaアカウントより出稿している自社の広告すべてに適用される
【キャンペーン上限予算】
キャンペーンごとに予算を設定できるため、注力したいキャンペーンには多めに予算をつけるなど、優先順位をつけた運用が可能になる
【広告セット上限予算】
キャンペーンよりも細かく広告予算を設定できるため、期間限定の出稿やABテストに向いている
また、課金方式としてインプレッション課金(CPM)とクリック課金(CPC)を選択できます。
3.広告を設定する
最後に広告を設定します。「広告」では、「広告名」と「クリエイティブの設定」を決めます。
広告名
広告のタイトルや、広告左上に表示されるFacebookページを指定します。
クリエイティブの設定
クリエイティブでは、フォーマットやクリエイティブを選択します。先述の通り、フォーマットは以下4つの選択肢があります。
クリエイティブでは、広告の画像や動画、見出しやリンク先など、具体的な広告内容を決定します。例えばリンク先であれば、ウェブサイトやイベント、連絡先を選択できます。必要に応じて、言語の設定やトラッキングに用いるFacebookピクセルの設定も可能です。
Facebook広告に関するQ&A
ここまでFacebook広告の基本から出稿までを解説してきました。ただ、Facebook広告を実際に運用するのにまだ不安が残る方もいることでしょう。
最後に、Facebook広告の初心者が疑問をもつことが多い疑問とその回答を、4つ紹介します。
適切な予算がわからない
適切な予算がわからない場合は、自動入札機能が活用できます。自社で現状Facebook広告にかけられる予算や、達成したい購入単価を設定すれば、設定予算の範囲でAIが結果を最大化すべく自動入札してくれます。
もちろん手動入札も可能で、広告配信のターゲットや媒体をより細かく設定できますが、広告の効果に影響を与える変数は、決して少なくありません。また、手動入札は手間もかかるため、基本的には自動入札がおすすめです。
詳しくは、「入札戦略について」も参考にしてみてください。
広告を出稿したが、審査落ちしてしまった
Facebook広告が審査落ちした場合は、Meta社が提供するFacebookの広告ポリシーに抵触していないか確認してください。広告ポリシーは、コミュニティ規定と広告規定に分けられます。「広告ポリシーの基本チェックリスト」もわかりやすいので、参考にしてみましょう。
▼コミュニティ規定と広告規定に抵触する例
コミュニティ規定
広告内容に、規制をかけずに過激な暴力描写が含まれている(例:スプラッタシーンを規制なしに表示)
他社商品に対する誹謗中傷を行うなど、嫌がらせととられる内容の広告を配信している(例:他社は腐った食品を商品として送ってくると、虚偽の誹謗中傷を行う)
広告規定
管轄地域の法律を守っていない(例:タイでは合法だが日本では違法な成分が含まれている化粧品の日本での広告)
詐欺目的の広告(例:ポンジスキームの詐欺に誘導する広告)
出稿した広告を削除したい
Facebook広告を出稿したものの、思うような効果が出ないこともあるでしょう。また、間違って出稿してしまうこともあるかもしれません。その場合、以下の手順で出稿した広告を削除できますので、順に説明します。
【広告削除の手順】
Facebookページを表示
左側のメニューで[広告センター]を選択
[自動広告]を選択
広告で[結果を確認]を選択(先に[すべて見る]をクリックすることが必要な場合もある)
右上の3点ドットをクリック
[広告を削除]を選択
[確認]をポップアップウィンドウでクリック
本当に効果が出ているか確認したい
ビジネス上の施策を行う際には、施策の改善や続行の有無を決めるため効果測定が重要で、Facebook広告も例外ではありません。ここでは、Facebook広告の効果測定に活用できる代表的なツールを、2つ解説します。
Meta広告マネージャ
Meta広告マネージャは、Facebookを運営するMeta社が提供する広告管理ツールです。Facebookだけでなく、Meta社が提供するSNSであるInstagramやMessengerなどに出稿している広告も管理できます。
広告の掲載場所や期間に加え、マーケティング目標の到達度も管理が可能です。また、iOSやAndroid用のアプリもあるため、モバイル端末の利用が多い方は活用してみましょう。
Google アナリティクス 4(GA4)
Google アナリティクス 4(以降GA4)は、Google社が提供するアクセス分析ツールです。
前身はGoogle アナリティクス(以降GA)で、2020年10月に誕生しました。その後しばらくはGAとGA4両方が使えましたが、GAのサポートは2023年7月に終了したため、今後はGA4を使用する必要があります。
GA4の特徴は、ページビューに留まらず、アプリのDL数や動画視聴数などあらゆるユーザー行動をトラッキングできることです。これにより、モバイルデバイスの普及などで複雑化している、ユーザー行動をより正確に追跡できます。
なお、GA4については「GA4(Google アナリティクス 4)とは?|設定から実践までわかりやすく解説」も関連記事としてご覧ください。